2022年に礼真琴・舞空瞳のトップコンビで上演される星組公演『めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-』は、同じく星組で2011年、2012年に柚希礼音・夢咲ねねのトップコンビで上演された『めぐり会いは再び』『めぐり会いは再び 2nd ~Star Bride~』に続く第3弾という位置づけとなっています。
小柳奈穂子作・演出の「めぐり会いは再び」シリーズでは、架空の王国にあるオルゴン伯爵家を主な舞台にして、共通のキャラクターがシリーズを通して登場するつくりになっています。
第3作観劇前の予習として、第1作・2作のあらすじや登場人物、第3作のキャストへの繋がりなどについて、総まとめしていきたいと思います。
「めぐり会いは再び」シリーズ全3作のあらすじ
第1作「めぐり会いは再び」-My only shinin’ star-のあらすじ
オルゴン伯爵(英真なおき)の娘シルヴィア(夢咲ねね)の花婿候補として5人の若者がオルゴン家にやって来る。
5人の花婿候補(柚希礼音、夢乃聖夏、美弥るりか、音波みのり、真風涼帆)は全員何らかの事情を抱えた訳アリだった。
シルヴィアは召使のリゼット(白華れみ)と入れ替わって花婿候補を観察することにするが、実は花婿候補の一人ドラント(柚希礼音)も従僕のブルギニョン(紅ゆずる)と入れ替わっていた。
お互いそうとは知らずに出会ったドラントとシルヴィア、ブルギニョンとリゼットはそれぞれ惹かれ合い、騒動の末2組のカップルが誕生する。
「めぐり会いは再びシリーズ」は小柳奈穂子のオリジナル作品という印象が強いのですが、第1作は実は原作があり、18世紀フランスの劇作家マリヴォーによる名作喜劇「愛と偶然との戯れ」をミュージカル化したものです。
この第1作はその後一部キャストを変えて博多座・中日劇場でも上演されています。
第2作「めぐり会いは再び 2nd ~Star Bride~」のあらすじ
第1作からちょうど1年後、結婚式を明日に控えたドラント(柚希礼音)とシルヴィア(夢咲ねね)だったが、たわいもないことから仲違いをしてしまう。
そんな中、シルヴィアの婚約者を名乗る騎士(十輝いりす)や、2人の結婚に反対するシルヴィアの弟ルーチェ(礼真琴)などの新たな登場人物も現れ、またも騒動が巻き起こる。
第3作「めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-」のあらすじ
舞台は第2作の10年後、主人公はシルヴィアの弟ルーチェ(礼真琴)とその恋人アンジェリーク(舞空瞳)。
オルゴン伯爵の次男ルーチェは大学卒業後も定職に就かず、友人レグルス(瀬央ゆりあ)が立ち上げた弱小探偵事務所の手伝いをして暮らしていた。ガールフレンドのアンジェリークとの関係も順調とは言えず、アンジェリークには実家から縁談の話も舞い込む始末。
ある日事務所に奇妙な依頼人が現れ、王家に代々伝わる秘宝“一角獣の聖杯”を守って欲しいと頼まれる。捜査に乗り出したルーチェは、いつしか王都を揺るがす争いに巻き込まれて行くこととなる。
「めぐり会いは再び」シリーズのお約束~登場人物を別キャストが演じることは原則ない
小柳奈穂子作・演出の「めぐり会いは再び」シリーズでは、架空の王国にあるオルゴン伯爵家を主な舞台にして、共通のキャラクターがシリーズを通して登場するつくりになっています。
「めぐり会いは再び」シリーズのお約束のように見えるのが、「ある登場人物を、その後のシリーズで別キャストが演じることはしない」ということです。
というのも、第2作の時点で退団や組替えなどで星組からいなくなったキャストが演じていた第1作のキャラクターは、何らかの理由で第2作劇中では「不在」という扱いになって、名前だけが登場しています。
また、第3作時点で星組に在団中のメンバーは、第1作・第2作と同じ役を演じることが発表されています。
そのため第3作中でも、過去シリーズの登場人物の名前が登場するのではと思われるので、その予習用に、これまでの主な登場人物とそのキャラクターを辞典的に総まとめしておきたいと思います。
なお、第3作に関する部分については、予習用ということでネタバレにならないよう、宝塚歌劇団のウェブサイトに記載されていることのみを反映させています。
「めぐり会いは再び」第1作~第2作の登場人物
ドラント・ヴェスペール(柚希礼音)
第1作・2作の主人公。ヴェスペール公爵の息子だが、身分の低い母の元で育てられていた。頑固で少しひねくれ者。
シルヴィア(夢咲ねね)の花婿候補としてオルゴン家にやってきて、入れ替わり騒動の末、シルヴィアと恋に落ち第2作の最後では無事に結婚する。
シルヴィア・ド・オルゴン(夢咲ねね)
第1作・2作のヒロイン。オルゴン伯爵(英真なおき)の次女で、気の強いお嬢様。兄(涼紫央)、姉(妃咲せあら)、弟(礼真琴)がいる。
第1作で花婿候補として集められた5人のうちドラント(柚希礼音)と恋に落ち、第2作で無事に結婚する。
ブルギニョン(紅ゆずる)
ドラント(柚希礼音)の従者。落ち着きがなく口数が多い。第1作でシルヴィアの侍女リゼット(白華れみ)と恋に落ち、第2作では結婚している。
第3作にはブルギニョンとリゼットの双子の子ども、カストル(稀惺かずと)とポルックス(詩ちづる)が登場する予定。
エルモクラート・オズウェル・マーキス(真風涼帆)
オズウェル辺境伯の息子で、メガネの劇作家。気弱ですぐスランプに陥り逃走するため、毎度フォーマルハウト(美稀千種)をはじめとする旅芸人一座を困らせている。
歌姫エメロード(美穂圭子)の元恋人で、エメロードの大ファンであるオルゴン家の執事ユリウス(天寿光希)を、エメロードのお食事券付きチケットで買収したこともある。
第3作時点では、なぜかアジス(美弥るりか)の元従者であるケテル(芹香斗亜)と一緒に、実家のオズウェル辺境伯爵領にいる模様で、第3作劇中には、エルモクラートの弟子セシル・ピーター・ウェルズ(天華えま)が登場予定。
「めぐり会いは再び」第1作のみの登場人物
リゼット(白華れみ)
シルヴィア(夢咲ねね)の侍女で、第1作でブルギニョン(紅ゆずる)と恋に落ちる。
第2作では白華れみが退団済みのため、ブルギニョンと結婚し「出産間近のため実家に帰っている」という設定で不在。第2作の最後に、無事男女の双子を出産したと連絡が入る。
第3作にはブルギニョンとリゼットの双子の子どもカストル(稀惺かずと)とポルックス(詩ちづる)が登場する予定。
マリオ・ド・オルゴン(涼紫央)
シルヴィア(夢咲ねね)とルーチェ(礼真琴)の兄で、オルゴン家の長男。クールな毒舌家。レオニード(音波みのり)に熱烈に追い回されている。
第2作では涼紫央が退団済みのため、「レオニードのアピールが『うざったい』ために姿をくらませ中」という設定で不在。
コリーヌ(稀鳥まりや)
レオニード(音波みのり)の侍女で、第1作では男装をさせられている。第2作では稀鳥まりやが退団済みのため、「レオニードのためにマリオ(涼紫央)を探しに行った」という設定で不在。
アルビレオ(妃咲せあら)
シルヴィア(夢咲ねね)とルーチェ(礼真琴)の姉でマリオ(涼紫央)の妹。第1作では、シルヴィアが片想いしていた相手と結婚したばかり。
第2作では妃咲せあらが退団済みのため不在。第1作での天真爛漫過ぎるキャラクターからすると、嫁ぎ先で幸せにしていると思われる。
リュシドール・グラファイス(夢乃聖夏)
シルヴィア(夢咲ねね)の元花婿候補で王立騎士団副筆頭騎士。ラルゴ伯爵夫人(万里柚美)の長年の愛人。ラルゴ伯爵夫人より10歳以上年下。
夢乃聖夏が雪組へ組替え済みのため、第2作では「年の差を気にしたラルゴ伯爵夫人に、愛想尽かしをされた」という設定で不在。
第3作時点ではようやくラルゴ伯爵夫人と結婚したものの、リュシドールは単身赴任中となっている模様で、同じく王立騎士団準筆頭騎士のヴァルター・オルレイン(碧海さりお)が登場予定。
アジス・ル・カイン(美弥るりか)
シルヴィア(夢咲ねね)の元花婿候補で、ル・カイン王国の第24王子(末っ子)。
美弥るりかが月組へ組替え済みのため、第2作ではアジスの侍女のコレット(早乙女わかば)と従者のコクマ(十碧れいや)だけが登場。「都会への憧れが捨てがたく、王都へ入り浸っている」とのことで不在。
第3作ではアジスと血縁があると思われるル・カイン王国の第128王子リドル・ル・カイン(咲城けい)が登場予定。
ケテル(芹香斗亜)
アジス王子(美弥るりか)のもうひとりの従者。芹香斗亜が花組へ組替え済みのため、第2作では「アジスを探しに行っている」とのことで不在。
第3作時点では、なぜか劇作家エルモクラート(真風涼帆)の実家であるオズウェル辺境伯爵領にいるとのこと。(=2022年現在、真風涼帆と芹香斗亜が宙組のトップスターと2番手男役となっているため、実際の演者の状況に絡めた小柳先生の遊び心と思われる)
「めぐり会いは再び」第2作からの登場人物
ルーチェ・ド・オルゴン(礼真琴)
オルゴン伯爵(英真なおき)の次男(末っ子)。
兄マリオ(涼紫央)、姉1アルビレオ(妃咲せあら)、姉2シルヴィア(夢咲ねね)がいる。
第2作時点では14歳(もうすぐ15歳)で王都へ留学中。姉シルヴィアの結婚式のために久しぶりに実家へ帰ってきたところという設定。ガールフレンドのアンジェリークとケンカしたことが原因で、「結婚は人生の墓場だ」と言い、ドラント(柚希礼音)と姉シルヴィアの結婚に反対する。
10年後の第3作では、大学卒業後も定職につかず、王都マルクトで友人レグルス(瀬央ゆりあ)が立ち上げた弱小探偵事務所の手伝いをして暮らしている。
第2作時点からのガールフレンド・アンジェリーク(舞空瞳)とも付き合いを続けているが、関係は順調ではない様子。
クラウス(十輝いりす)
役者だったがエルモクラート(真風涼帆)の脚本のせいで公演が打ち切りになり、路頭に迷う。
後輩のルナール(麻央侑希)と共にカボチャ泥棒として追われていたところで、偶然オルゴン伯爵家の領地を通り掛かり、シルヴィア(夢咲ねね)の婚約者を名乗って事態を混乱させる。
「めぐり会いは再び」第1作から第3作まで全出演の登場人物
ラルゴ伯爵夫人=マダム・グラファイス(万里柚美)
オルゴン伯爵(英真なおき)の古くからの友人。気の利いたエスプリのセンスを何より大事にする。
10歳以上年下のリュシドール・グラファイス(夢乃聖夏)と長年の愛人関係を続けていたが、第3作ではついに前夫との関係を清算し、マダム・グラファイスとなっている。
レオニード・ド・ローウェル(音波みのり)
オルゴン家の長男マリオ(涼紫央)を熱烈に追いかけているローウェル伯爵の娘。第1作では、マリオに近接禁止令を出されたため、兄のフォションを閉じ込めて(一服盛ったとの説も)成りすまし、シルヴィア(夢咲ねね)の花婿候補として登場する。
第3作ではマリオとの恋愛経験をいかし、恋愛コンサルタントとしても活躍しているとのこと。第3作のヒロイン・アンジェリーク(舞空瞳)のいとこでもある。
フォーマルハウト(美稀千種)
旅芸人一座(第3作では「コメット座」)の座長。劇作家のエルモクラート(真風涼帆)がスランプに陥ると結末を書かずに逃走したりするため、いつも悩まされている。
第3作ではルーチェ(礼真琴)の友人でエルモクラートの弟子、セシル・ピーター・ウェルズ(天華えま)が、一座の脚本を手掛けている模様。
ユリウス(天寿光希)
オルゴン伯爵家に長年仕える執事。差出人になり切って手紙を読むのが得意。
第1作の時点から歌姫エメロードの大ファンで、エルモクラート(真風涼帆)にエメロードとのお食事つきチケットをチラつかされ、秘密を漏らした過去も。
第3作で遂にエメロード本人が登場予定。
ブラン(白妙なつ)
オルゴン伯爵家の召使、第3作では「メイド長」に昇格している模様
第3作で初登場だが既に名前だけ登場している人物
アンジェリーク(舞空瞳)
ルーチェ(礼真琴)のガールフレンドで、ローウェル公爵の娘。
ルーチェとは第2作時点からの長い付き合いだが、関係は順調ではなく、実家から縁談話が舞い込むようになっている。
アンジェリークが実際に舞台に登場するのは第3作からですが、第2作でも「ルーチェが喧嘩中のガールフレンド」として名前だけ登場していて、オルゴン家の執事ユリウス(天寿光希)がアンジェリークからの手紙を読み上げるシーンがあります。
エメロード(美穂圭子)
女優で歌姫。第1作から劇作家エルモクラート(真風涼帆)の元恋人かつパトロンとして名前が出ていた。
オルゴン家の執事ユリウス(天寿光希)が、エメロードの大ファン。
第3作ではフォーマルハウト(美稀千種)率いるコメット座の公演にゲスト出演する。
フォション・ド・ローウェル(ひろ香祐)
レオニード(音波みのり)の兄でローウェル伯爵の息子。第1作でシルヴィア(夢咲ねね)の花婿候補となるはずだったが、レオニードに閉じ込められ成り代わられる。
小柳奈穂子先生のマニアックなこだわりが山ほど詰まっている「めぐり会いは再び」シリーズ、第3作でもまだ明らかになっていない繋がりや伏線回収がありそうで、公演が楽しみです!