星組礼真琴主演でミュージカル『BIG FISH(ビッグ・フィッシュ)』が上演されます。
この作品は2013年初演のブロードウェイミュージカルで、2017年・2019年に日本でも川平慈英主演で上演されています。
早速あらすじや楽曲を予習してみましたが、アンドリュー・リッパ作の楽曲がとてもメロディアスで温かみがあるなと。最近『1789』や『赤と黒』などフレンチロックが続いていた礼真琴率いる星組メンバーで、今回は対照的なブロードウェイサウンドを聴けるのがとても楽しみです。(下でブロードウェイ版の音源を試聴できるようにしてあります)
観劇前の予習用として、BIG FISHのあらすじや主な登場人物、セットリストなどをまとめてみました。(結末に繋がるネタバレはしていません)
『BIG FISH』あらすじ
BIG FISHはエドワード(礼真琴)とその家族の物語です。エドワードは息子のウィル(極美慎)に、自分の人生をまるで物語のように大げさに語って聞かせてきていました。
幼い頃のウィルは父の冒険話が大好きでしたが、大人になるにつれて素直に聞けなくなり、2人の間には距離が生まれていました。しかしエドワードが病に倒れたことで、ウィルは父の本当の人生を知るべくその足跡をたどり始めます。
エドワードの真実の姿とは?そして彼が息子に伝えたかったこととは?
この物語は老いたエドワードと大人のウィルがいる「現在」と、ウィルの子ども時代にエドワードが自分の物語を語って聞かせる「数十年前」の2つの時間軸で構成されます。そしてエドワードの語る”Fish Story”の中で、彼の10代からの物語がファンタジックに再現されます。
英語でFish Storyとは「釣り人が自分の釣った魚の大きさを誇張して話す」ことから「大げさな作り話」「怪しいホラ話」を意味します。
タイトルのBig Fishとは劇中でエドワードが釣ったと語る「大きな魚」の他に「大ぼら吹き」の意味も込められているのです。
アメリカの中でもアラバマ州という南部が舞台となっているため、カウボーイが登場したり音楽もカントリー調だったりと、ニューヨークなど都会を舞台にしたミュージカルとはまた違った味わいがあるのも面白いなと思います。
『BIG FISH』の原作と映画版、ミュージカル版
『BIG FISH』の原作はダニエル・ウォレス作の1998年の小説『ビッグフィッシュ 父と息子のものがたり』です。
この小説を元に『BIG FISH』は2003年ティム・バートン監督によって映画化され、若きエドワードをユアン・マクレガーが演じています。
ただ、映画版とミュージカル版ではストーリーや設定が異なる部分もあり、特にジェニー・ヒルの役どころは大きく変わっているようです。
*「ビッグ・フィッシュ」の日本語ウィキペディアには映画版のストーリーがネタバレありで結末まで書かれているのでご注意ください
ミュージカル版『BIG FISH』はアンドリュー・リッパの楽曲と共に2013年に誕生し、ブロードウェイをはじめシドニー、ロンドン、ソウルでも上演されています。
日本でも白井晃演出により、2017年に日生劇場で、2019年には出演者数を絞り「12人バージョン」としてシアタークリエ他で上演されています。
2017年、2019年共に、エドワードを川平慈英が、息子ウィルを浦井健治が演じ、エドワードの妻サンドラには霧矢大夢、ウィルの妻ジョセフィーンには夢咲ねねが配されています。
ミュージカル版『BIG FISH』の登場人物とキャスト
エドワード・ブルーム:礼真琴
自分の経験談を”Fish Story”のように大げさに語る名人。
一番の鉄板ネタは息子ウィル(極美慎)が生まれた日に巨大な魚を釣り上げた話。
サンドラ(詩ちづる→小桜ほのか)と結婚後はセールスマンとして各地を飛び回っていた。
2017/2019日本キャスト 川平慈英
2024年星組 礼真琴
エドワードの楽曲の中でも、特に序盤で息子ウィルに向けて歌われるBe the Heroが、この物語のテーマだなと。宝塚版を聴くのが今から楽しみです。
ウィル・ブルーム:極美慎
エドワード(礼真琴)の息子。幼い頃は父の冒険話が大好きだったが、大人になってからはその話を素直に信じられなくなり、距離ができている。
2017/2019日本キャスト 浦井健治
2024年星組 極美慎
ウィルが親になる自分と父親への戸惑いを歌うソロ、Strangerも良い曲です。
6/3追記:
BIG FISH日本初演版ウィル・ブルーム役の浦井健治のアルバム『Piece』にも「Stranger」が収録されています。
宝塚版も日本語の訳詞は日本初演版と同じ高橋亜子さんのものになります。
ヤング・ウィル:茉莉那ふみ
子ども時代のウィル(極美慎)
2017年日本初演 鈴木福/りょうた(Wキャスト)
2019年日本再演 佐田照/佐藤誠悟(Wキャスト)
2024年星組 茉莉那ふみ
宝塚版では主な配役としてヤングウィルは発表されていませんが、稽古場情報によると茉莉那ふみが演じるようです。
サンドラ・ブルーム:小桜ほのか/詩ちづる
エドワード(礼真琴)の妻でウィル(極美慎)の母。学生時代にエドワードに一目惚れされ、猛アタックを受けて結婚した。夫と息子双方の良き理解者。
2017/2019日本キャスト 霧矢大夢
2024年星組 小桜ほのか、詩ちづる(若かりし頃)
宝塚版ではヒロインのサンドラを小桜ほのかと詩ちづるの2人が演じることになりました。
成人した息子を持つ現在のサンドラが小桜ほのか、エドワード(礼真琴)と出会って結婚するまでが詩ちづるという分け方かなと思うので、
ブロードウェイ版のセットリストだと
Two Men In My Life→小桜
Little Lamb from Alabamaと
エドワード(礼真琴)とのデュエット2曲
Time Stops、Daffodils→詩
I Don’t Need a Roof→小桜
という楽曲の振り分けになるのかなと想像しています。
ジョセフィーン・ブルーム:星咲希
ウィル(極美慎)の新婚の妻。ウィルの子を妊娠中。
2017/2019日本キャスト 夢咲ねね *2017年は赤根那奈名義での出演
2024年星組 星咲希
ドン・プライス:蒼舞咲歩
エドワード(礼真琴)の幼馴染でガキ大将。後にサンドラ(詩ちづる→小桜ほのか)の婚約者
2017/2019日本キャスト 藤井隆
2024年星組 蒼舞咲歩
ドン・プライスはコメディ寄りの役ですが、エドワードの恋敵にもなるポジションなので、蒼舞咲歩がどう演じるのかとても楽しみです!
魔女:都優奈
未来を予見する力を持った魔女。10代の頃、エドワード(礼真琴)は魔女の目を覗いて自分の死に方を知ったという
2017/2019日本キャスト JKim
2024年星組 都優奈
魔女は序盤に重要なソロ曲のある役なので、歌手・都優奈の配役はぴったりですね。
カール:大希颯
洞窟の巨人。エドワード(礼真琴)と共に故郷を出て旅をする
2017/2019日本キャスト 深水元基
2024年星組 大希颯
エドワードに助けられ仲間になる巨人のカールは、やはり長身の大希颯が配役されました。
エーモス・キャロウェイ:碧海さりお
サーカス団の団長。サンドラ(詩ちづる→小桜ほのか)の情報を教える引き換えに、エドワード(礼真琴)をサーカスで働かせる。
2017/2019日本キャスト ROLLY
2024年星組 碧海さりお
エドワードをこき使うクセ者団長は碧海さりお。この役も秘密があったりするので、面白い役どころだと思います。
ジェニー・ヒル:白妙なつ/鳳花るりな
エドワード(礼真琴)が故郷を出る前のガールフレンド。ウィル(極美慎)が父の真実を知る鍵となる人物。
2017/2019日本キャスト 鈴木蘭々
2024年星組 白妙なつ・鳳花るりな(若かりし頃)
現代パートでも重要になるジェニーは、白妙なつ、鳳花るりなの2人が配役されています。
エドワード(礼真琴)が故郷を出る前のパートが鳳花るりな、ウィル(極美慎)が会いに行く現在のジェニーが白妙なつということかと思います。
ザッキー・プライス:夕陽真輝
ドン・プライス(蒼舞咲歩)の弟。兄の金魚のフン的存在。
2017/2019日本キャスト 東山光明
2024年星組 夕陽真輝
星組コメディ界隈(!?)において蒼舞咲歩と夕陽真輝のコンビは『龍の宮物語』の頃からの鉄板ですので、今回もこの2人の組み合わせが見られて、とても嬉しいです。
人魚:希沙薫
エドワード(礼真琴)が泳ぎを教わったと語る人魚。
2017/2019日本キャスト 小林由佳
2024年星組 希沙薫
人魚の配役はどうなるかな?と思っていましたが、『ロミオとジュリエット』の愛や『RRR』のWATERRRなど中性的なダンサーポジションでは、やはり希沙薫をあてたくなりますよね。
ドクター・ベネット:ひろ香祐
エドワード(礼真琴)の主治医
2017日本キャスト 大谷美智浩
2024年星組 ひろ香祐
その他エドワードが語る劇中劇の人物として、漁師、カウボーイ、サーカス団員などが登場します。
『BIG FISH』楽曲セットリストと歌唱キャラクター
ブロードウェイ初演版でのセットリストになります。
セットリストはブロードウェイ初演版(英語ウィキペディア)を参照していますが、黄色背景の曲は音源としては収録されていないものになります。
Act I
“Be the Hero” エドワード
“The Witch” 魔女、エドワード
2017年日本初演での曲名は”I Know What You Want”
Ultrasound Sequence – ジョセフィーン
2017年日本初演での曲名は”Just Take Another Look” ウィル、ジョセフィーン
“Stranger” ウィル
“Two Men In My Life” サンドラ
“Ashton’s Favorite Son” コーラス
2017年日本初演版プログラムでの歌唱者はジェニー・ヒル、町の人々、チアリーダー
“Out There on the Road” エドワード、カール、ジェニー
“Little Lamb from Alabama” サンドラ、少女たち
“Time Stops” エドワード、サンドラ
“Closer to Her” エーモス、エドワード、サーカス団員
“Daffodils” エドワード、サンドラ
Act II
“Red, White and True” エドワード、サンドラ、レッド・ファン、パタソン将軍他
“Fight the Dragons” エドワード、ヤングウィル
“Stranger” (Reprise) ウィル
“Showdown” ウィル、エドワード、カウボーイ
“I Don’t Need a Roof” サンドラ
“Start Over” エドワード、ドン・プライス、エーモス、カール、ザッキー・プライス
“Start Over” (Reprise) エドワード
“What’s Next” ウィル、エドワード
“How It Ends” エドワード
“The Procession” コーラス
“Be the Hero” (Reprise) ウィル
ボーナストラック
元々はセットリストに入っていたもののカットになった楽曲が2曲収録されています。この2曲は日本での2019年再演版では使われているとのことなので、今回の宝塚版でも聴けるかもしれせん。
“This River Between Us” エドワード、ウィル
“Magic in the Man” サンドラ
2019年日本再演版では、”Two Men In My Life” の代わりに、サンドラが息子ウィルに語り掛けるシーンで使用されていたようです。
日本語歌詞版「Be the Hero」「Stranger」は浦井健治のアルバムに収録
6/3追記:
高橋亜子さんによる日本初演版BIG FISHの訳詞が、今回の宝塚星組版でもそのまま使われています。
BIG FISH日本初演版は映像・音源化されていませんが、日本初演でウィル・ブルームを演じていた浦井健治のアルバムに「Be the Hero」と「Stranger」が収録されているものがあるので、この2曲は星組版と同じ日本語歌詞で聴くことができます。
浦井健治の2ndアルバム『Piece』に「Stranger」が収録されています。
浦井健治の3rdアルバム『VARIOUS』に「Be the Hero」が収録されています。
星組公演『BIG FISH(ビッグ・フィッシュ)』公演情報・期別出演者
ミュージカル
『BIG FISH(ビッグ・フィッシュ)』
脚本:ジョン・オーガスト
作詞・作曲:アンドリュー・リッパ
潤色・演出:稲葉太地
公演期間:2024年5月30日(木) ~6月16日(日)@東急シアターオーブ(東京都)
出演者:
白妙なつ(90期)
礼真琴、ひろ香祐(95期)
天希ほまれ(98期)
小桜ほのか、蒼舞咲歩(99期)
二條華、希沙薫、極美慎、煌えりせ(100期)
碧海さりお、夕陽真輝 (101期)
都優奈(102期)
羽玲有華、星咲希(103期)
御剣海、凛央捺はる(104期)
詩ちづる、鳳花るりな、大希颯、星影なな、彩夏こいき(105期)
凰陽さや華、飛翠真凜、樹澄せいや、咲園りさ(106期)
碧羽陽、和波煌、世奈未蘭、美玲ひな(107期)
茉莉那ふみ、乙妃優寿、絢咲羽蘭、瑠羽らいと、珀亜れい(108期)
早瀬まほろ、逢莉しゅん、花綾れい(109期)