「ザ・ジェントル・ライアー」3つのゲームを考察①ロバート(綺城ひか理)VSローラ(紫りら)

宝塚星組

星組公演「ザ・ジェントル・ライアー」では、「英国的、紳士と淑女のゲーム」という副題の通り、男女の駆け引きや人間模様をゲームに例えて描いています。

その中でもストーリー展開の軸となる大きなゲームが3つあります。

1.ロバート(綺城ひか理) VS ローラ(紫りら)のゲーム
ゲームの対象は「ロバートの過去のスキャンダル」と「アルゼンチン運河計画」です。

2.アーサー(瀬央ゆりあ) VS ローラ(紫りら)のゲーム
ゲームの対象は「ロバートとガートルードの愛」と「アーサーとローラの結婚」です。

3.アーサー(瀬央ゆりあ)とガートルード(小桜ほのか)のゲーム
ゲームの相手は自分自身で、ゲームの対象は「自分の勇気」です。

 

それぞれのゲームについて、登場人物のどのような思惑や心理が描かれているのか、順番に深掘りしていきたいと思います。

スポンサーリンク

物語のきっかけとなるロバート(綺城ひか理)とローラ(紫りら)のゲーム

「ザ・ジェントルライアー」のストーリーは、ローラ(紫りら)がロバート(綺城ひか理)を脅しに現れるところから動き出します。

ローラはロバートのスキャンダル(過去に不正取引をして財産を築いたこと)の証拠を握っていて、これを世間に公表されたくなければ、ローラが投資をしている詐欺同然のアルゼンチン運河計画を支持する議会演説をしろ、と迫ります。

 

「ローラの脅しに屈し、信念を曲げて詐欺同然のアルゼンチン運河計画を支持する」

「信念を貫きアルゼンチン運河計画が詐欺だと公表し、ローラに過去のスキャンダルをばらされて失脚する」

このどちらかをロバートが選ぶというゲームです。

ロバートが前者を選べば、ロバートの立場は守られ、ローラも投資で損をすることはなくなります。

一方、ロバートが後者を選べば、ロバートは不名誉な過去を暴露されて失脚し、ローラもアルゼンチン運河計画の実態がバレて損をすることになります。

そのためお互いの利益のためにも、ロバートは前者を選ぶべきだ、というのがローラの主張です。

ロバートはガートルード(小桜ほのか)の愛が1番大事

決断を迫られたロバートの1番の悩みは、自分を理想の夫と信じて疑わない妻のガートルードのことです。

ロバートがどちらの選択肢を選んだとしても、「過去に不正をした男」または「自分の信念を曲げて脅しに屈した男」であることがガートルードにバレてしまいます。

ガートルードはロバートが高潔でやましいところのない完璧な人物だと信じているので、それが崩れたら失望し、自分はガートルードの愛を失ってしまうのではないか、というのがロバートにとって最大の恐怖です。

 

ロバートが耐えがたい順に並べると

1、ガートルードの愛を失うこと

2、信念を曲げてローラの不正に加担すること

3、過去のスキャンダルがバレて今の名声を失うこと

となると思います。

 

ローラに誤算があったとすれば、ロバートのこの優先順位を逆に予想していたのではないかなと。

ローラの価値観で考えれば、ロバートが一番避けたいのは3番目のスキャンダルがバレて失脚することのはずで、それを避けるためなら2番目のローラの脅しに屈する選択肢を選ぶだろうという勝算だったと思います。

アーサー(瀬央ゆりあ)の意見は最初から最後まで同じ

どちらの選択肢を選んでもガートルードの愛を失うことになると八方塞がりになったロバートは、親友のアーサーに相談します。

アーサーの考えは、劇中最初から最後まで「理想を貫いて全てを失うより、妥協してでも本当に大事なものを守るべき」というところから変わっていません。

 

ロバートとガートルードはどちらも理想を捨てて妥協をするべき、

つまりロバートは過去の不正を世間から隠し通すべき(たとえローラの脅しに屈することになっても)で、

ガートルードは、ロバートの完璧ではない真実の姿を受け入れるべき、というようなことです。

理想よりも実利を取る、という意味ではアーサーとローラの価値観や優先事項は似ているんですよね。

アーサーはロバートに対し「過去のスキャンダルを隠すために、ローラの要求に従うこと」を勧め、その代わりにロバートがガートルードの愛を失わないよう、自分がガートルードを説得することを申し出ます。

ロバートの選択からアーサーVSローラのゲームへ

しかしアーサーの説得はあっさりと失敗し、ガートルードはロバートの過去の不正を知ってしまいます。

自分に対して嘘をつき続けていたロバートの愛は信じられない、とガートルードに拒絶され、ロバートはこの時点で1番守ろうとしていたものを失ってしまいます。

ガートルードに「自分のすべきことをするように」と言われたロバートは、自分の意思で「アルゼンチン運河計画は詐欺であると真実を公表する」、つまり「ローラの脅しには乗らない」ことを決めます。

ゲームのルールとして、当然その後に待っているのは、ローラがロバートの過去の不正を世間に暴露し、ロバートは失脚するという展開です。

ロバートもそのことは覚悟の上で、アーサーに「これが最後の議会演説だ」と告げています。

しかしアーサーはロバートが今の立場を失うことを望まないので、自分でロバートの不正の証拠をローラから取り返そうとし、アーサーVSローラのゲームへと繋がっていきます。

「ザ・ジェントル・ライアー」3つのゲームを考察②アーサー(瀬央ゆりあ)VSローラ(紫りら)
星組公演「ザ・ジェントル・ライアー」では、原作よりもアーサー(瀬央ゆりあ)とローラ(紫りら)の関係が大きく描かれています。 アーサーもローラも「嘘つき」なので、2人の会話のどこまでが本音でどこからが嘘なのか、表情や声色などのニュアンス...