月組の暁千星主演で「ブエノスアイレスの風-光と影の狭間を吹き抜けてゆく…-」が2022年に再演されます。
この作品は1998年に月組・紫吹淳主演で初演され、一部キャストを変えて1999年月組で続演、2008年に星組・柚希礼音主演で再び上演されています。
私も柚希礼音主演版は観劇しているのですが、月組での再演にあたり、改めて「ブエノスアイレスの風」のあらすじや登場人物、歴代キャストなどを振り返ってまとめてみました。
「ブエノスアイレスの風」あらすじと特徴
「ブエノスアイレスの風」はタイトルの通り、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスを舞台にした作品です。
時は1900年代半ば、軍事政権が倒れて民主制になったばかりの時代です。
主人公のニコラス(暁千星)は、軍事政権時代に過激派ゲリラ組織のリーダーとして反政府活動を率いていた人物で、政治犯として囚われていた彼が、特赦により7年振りに釈放されたところから物語が始まります。
職探しのためタンゴ酒場を訪れたニコラスは、タンゴダンサーとしてイサベラ(天紫珠李)とペアを組んで踊ることになります。
新たな時代で生き方を模索するニコラスに対し、ゲリラ時代が忘れられないかつての仲間リカルド(風間柚乃)や、元恋人のエバ(羽音みか)、エバの現在の恋人で刑事のビセンテ(礼華はる)などが絡んでいき、という展開です。
「ブエノスアイレスの風」では全編にアルゼンチンタンゴが使われ、主人公たちだけでなく、舞台転換の合間や主要キャストが話している後ろでも、度々アルゼンチンタンゴが踊られる構成になっています。
(星組版の映像を今見ると、美弥るりか、天寿光希、音波みのりなどが踊っていて豪華です!)
ダンスが多用される一方で、歌に関しては主人公のニコラスと、酒場の歌手フローラ(晴音アキ)役以外のキャストは一切歌わないというかなり極端な作品でもあります。ヒロインのイサベラにも全く歌のパートがありません。
正塚晴彦作・演出の作品らしく、男のロマンや思想といったものに重きが置かれていて、生き方を定めあぐねている主人公が新たな出会いや事件に直面し、一歩踏み出すかどうか、というようなストーリーです。
革ジャンにダークな照明、アウトロー気味な主要キャラクター達など、正塚作品らしい要素も色々と盛り込まれています。
「ブエノスアイレスの風」の登場人物と歴代配役・キャスト
ニコラス・デ・ロサス:暁千星
元・反政府ゲリラ組織のリーダー。政治犯として7年間収監されていて、軍事政権の崩壊により出所したばかり。
民主制へと時代が変わったことを受け止め、新しい生き方を探そうとしている。
職探しに訪れたタンゴ酒場でダンスの才覚を見出され、イサベラ(天紫珠李)と組んでダンサーとして踊ることになる。
歴代ニコラス3名の「風に吹かれて」聴き比べはこちらから
イサベラ:天紫珠李
1998-99年月組 西條三恵
2008年星組 夢咲ねね
2022年月組 天紫珠李
タンゴ酒場のダンサーで、ニコラス(暁千星)とペアを組んで踊ることになる。
病気の母親と、金のことで諍いが絶えない姉夫婦に悩まされている。
リカルド:風間柚乃
1998年月組 樹里咲穂
1999年月組 嘉月絵理
2008年星組 和涼華
2022年月組 風間柚乃
ニコラス(暁千星)の昔のゲリラ活動仲間で、唯一の生き残り。
国外を転々として逃げ延び、ブエノスアイレスへ戻ってきたばかり。
軍事政権時代の熱いゲリラ闘争が忘れられず、新たな闘いを起こそうとする。
ビセンテ:礼華はる
1998年月組 成瀬こうき
1999年月組 汐美真帆
2008年星組 紅ゆずる
2022年月組 礼華はる
刑事でエバ(羽音みか)の現在の恋人。
元軍人で、対ゲリラの部隊にいた。そのためゲリラに許しがたい思いを抱えていて、エバがニコラス(暁千星)の元恋人だったことにショックを受ける。
マルセーロ:彩海せら
1998年月組 大和悠河
1999年月組 霧矢大夢
2008年星組 真風涼帆
2022年月組 彩海せら
フローラ(晴音アキ)の息子。
チンピラで、母に金をせびりに時々タンゴ酒場へやってくる。
イサベラ(天紫珠李)に気があり執着している。
エバ:羽音みか
1998-99年月組 美原志帆
2008年星組 蒼乃夕妃
2022年月組 羽音みか
小学校の教師。
ニコラス(暁千星)が投獄される前の恋人で、現在はビセンテ(礼華はる)の恋人。
リリアナ:花妃舞音
1998-99年月組 叶千佳
2008年星組 水瀬千秋
2022年月組 花妃舞音
リカルド(風間柚乃)の妹で、兄の計画の片棒を担ぐ。
昔からニコラス(暁千星)に片想いしている。
フローラ:晴音アキ
1998-99年月組 矢代鴻
2008年星組 音花ゆり
2022年月組 晴音アキ
タンゴ酒場の歌手。マルセーロ(彩海せら)の母。
「ブエノスアイレスの風」は、主役のニコラスとフローラ以外は全く歌わない珍しい作品です。名曲「ヴィエント・デ・ブエノスアイレス」と「恩讐の果てに」の2曲を、ニコラスとフローラがそれぞれ別の場面で歌うという構成になっています。
初演が矢代鴻さんということで、娘役としては低いキーでの歌になりますが、幕開きもフローラの歌なので、個人的にはフローラの歌声によって、「ブエノスアイレスの風」の世界観のトーンが決まるようなイメージを持っています。
歴代フローラ3人の「ヴィエント・デ・ブエノスアイレス」聴き比べはこちらから
ロレンソ:凛城きら
1998年月組 美郷真也
1999年月組 光樹すばる
2008年星組 美城れん
2022年月組 凛城きら
タンゴ酒場のオーナー
メルセデス:夏月都
1998-99年月組 那津乃咲
2008年星組 純花まりい
2022年月組 夏月都
タンゴ酒場のスタッフ
バーテン:彩路ゆりか
1998-99年月組 京樹真那
2008年星組 鶴美舞夕
2022年月組 彩路ゆりか(主な配役には名前なし)
タンゴ酒場のバーテン。
酒場は自分が仕切っているとニコラス(暁千星)に先輩風を吹かす。
武器商人:蓮つかさ
1998年月組 大空祐飛
1999年月組 遼河はるひ
2008年星組 水輝涼
2022年月組 蓮つかさ
リカルド(風間柚乃)と取引をする武器商人グループのリーダー。
警察署長:朝霧真
1998-99年月組 越乃リュウ
2008年星組 天寿光希
2022年月組 朝霧真
ビセンテ(礼華はる)の上司
管理人:結愛かれん
1998-99年月組 水島あおい
2008年星組 涼乃かつき
2022年月組 結愛かれん
リカルド(風間柚乃)の部屋の管理人
2022年月組での配役は途中で「管理人の娘」表記に変更
イサベラの姉:清華蘭
1998-99年月組 三杉千佳
2008年星組 華美ゆうか
2022年月組 清華蘭
2022年月組での配役には「姉」としか記載がありませんが、イサベラ(天紫珠李)の姉のことです。
その他の配役
銀行員:大楠てら
1998-99年月組 あゆら華央
2008年星組 如月蓮
2022年月組 大楠てら(主な配役には名前なし)
大金持ちの振りをしているリリアナ(花妃舞音)の営業担当の銀行員。
バンドネオン弾き:大瀬いぶき
1998-99年月組 研ルイス
2008年星組 漣レイラ
2022年月組 大瀬いぶき(主な配役には名前なし)
街中でバンドネオンを弾いている男。
イサベラの義兄:大瀬いぶき
1998-99年月組 越乃リュウ
2008年星組 碧海りま
2022年月組 大瀬いぶき(声のみ、主な配役には名前なし)
車のブローカー:和真あさ乃
1998-99年月組 一色瑠加
2008年星組 美弥るりか
2022年月組 和真あさ乃(主な配役には名前なし)
マルセーロ(彩海せら)と取引をするブローカー
女医:花時舞香
1998-99年月組 鈴奈美央
2008年星組 美春あやか
2022年月組 花時舞香(主な配役には名前なし)
イサベラの母(2022年月組:夏月都)が入院している病院の女医
ウェイトレス
2008年星組 夢妃杏瑠・早乙女わかば
2022年月組 天愛るりあ・まのあ澪・静音ほたる(主な配役には名前なし)
*天愛るりあは日本青年館公演全日程休演
警官
2008年星組 麻央侑希
2022年月組 遥稀れお/彩路ゆりか、和真あさ乃、一輝翔琉(主な配役には名前なし)
月組公演『ブエノスアイレスの風』公演情報・期別出演者
『ブエノスアイレスの風』
-光と影の狭間を吹き抜けてゆく…-
作・演出/正塚 晴彦
公演期間:
2022年5月3日(火)~5月10日(火)@日本青年館ホール
2022年5月18日(水)~5月26日(木)@梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
出演者:
月組
夏月都(88期)
晴音アキ(95期)
蓮つかさ、朝霧真(97期)
暁千星、清華蘭(98期)
風間柚乃(100期)
天紫珠李、礼華はる、結愛かれん、花時舞香(101期)
彩海せら、天愛るりあ、大楠てら(102期)
羽音みか、彩路ゆりか、まのあ澪(103期)
静音ほたる、遥稀れお(105期)
和真あさ乃、花妃舞音、大瀬いぶき、蘭叶みり(106期)
澪花えりさ、一輝翔琉(107期)
専科
凛城きら(92期)