宝塚星組「ベアタ・ベアトリクス」ロセッティ(極美慎)他各配役の実生涯からあらすじを予想

宝塚星組

極美慎初主演の星組公演『ベアタ・ベアトリクス』は、19世紀半ばにイギリスで活躍した画家・詩人のロセッティを主人公にした作品です。

宝塚版のあらすじによると、ロセッティの代表作として知られる絵画「ベアタ・ベアトリクス」が生み出されるまでの、愛憎渦巻く人間模様が描かれるとされています。

発表されている主な配役を見ると、大部分が実在の人物の名前になっています。

この作品は演出家・熊倉飛鳥先生のデビュー作となっていて、どんな作風になるのか幕が開くまで想像がつきませんが、発表されている主な配役と、実在の人物の生涯を重ね合わせて、各キャストの役どころやストーリーを予想してみたいと思います。

実在の人物の生涯は「ベアタ・ベアトリクス」のストーリーのネタバレになる部分も多々あると思われますので、その点ご注意の上お読みください!
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宝塚『ベアタ・ベアトリクス』主な配役に登場する実在の人物

ダンテ・ガブリエル・ロセッティ:極美慎

「ベアタ・ベアトリクス」あらすじより

イギリスのロイヤルアカデミーの画学生。エヴァレット(天飛華音)、ウィル(碧海さりお)と共に、それまでの古い美術観を打ち破るべく、プレ・ラファエライト・ブラザーフッド(以後は通称のラファエル前派と呼びます)を名乗り創作活動を始める。

詩人のダンテを崇拝し、その著書「新生」に登場する理想の女性“ベアトリーチェ”を追い求めている。

帽子屋で働く娘リジー(小桜ほのか)と恋に落ちるが、後に出会う女優ジェイン(水乃ゆり)に夢中になっていく。

実在の人物の生涯

ダンテ・ガブリエル・ロセッティ Dante Gabriel Rossetti(1828~1882)

1828年イタリア移民で詩人ガブリエーレ・ロセッティ(朝水りょう)の2番目の子として生まれる。姉マリア、弟ウィリアム・マイケル、妹クリスティーナ(麻丘乃愛)がいる。

1846年(18歳) ロンドンのロイヤルアカデミースクールに入学

1848年(20歳) エヴァレット(天飛華音)、ウィル(碧海さりお)と共にラファエル前派を結成

1850年(22歳) リジー(小桜ほのか)と出会い、後に婚約する

1857年(29歳) 芝居小屋でジェイン(水乃ゆり)と出会い、ジェインをモデルとして描くようになる

1860年(32歳) 長い婚約期間を経てリジーと結婚するが、2年後にリジーが亡くなる

同時期にジェインもウィリアム・モリス(大希颯)と結婚するものの、ロセッティとジェインの関係は数十年に渡り続いたとされている

妻リジーの死後、ロセッティは彼女をモデルに「ベアタ・ベアトリクス」を描く。


ロセッティ作『ベアタ・ベアトリクス』

「ベアタ・ベアトリクス」はBlessed Beatrice 聖なるベアトリーチェ、というような意味で、この作品は現在アメリカ・シカゴ美術館所蔵となっています。

リジー・シダル:小桜ほのか

「ベアタ・ベアトリクス」あらすじより

帽子屋で働く娘。ロセッティ(極美慎)と恋に落ちるが、ロセッティのライバルであるエヴァレット(天飛華音)がリジーを描いた作品「オフィーリア」が高く評価されたことで、ロセッティとの関係に溝が生まれてしまう。

実在の人物の生涯

エリザベス・エレノア・シダル Elizabeth Eleanor Siddal (1829~1862)

1849年ロンドンの婦人用帽子屋で働いていた時に、ラファエル前派のメンバーと知り合い、彼らのモデルをつとめるようになる。「リジー」はロセッティがつけた愛称。リジー自身も絵画や詩などの作品を残している。

1852年以降ロセッティのモデル兼恋人として共に暮らすようになるが、リジーが労働者階級出身であることなどからロセッティ家族の反対に遭い、なかなか結婚することができなかった。

リジーはエヴァレットの作品「オフィーリア」でモデルをつとめ、高く評価されたが、その制作のため冷たいバスタブの中に長時間浸かっていたことで肺炎を患うことになった。

その後もリジーは病気がちで、1860年にロセッティと結婚するも死産などが重なり1862年に32歳で死去した。

ジョン・エヴァレット・ミレイ:天飛華音

「ベアタ・ベアトリクス」あらすじより

ロイヤル・アカデミーで神童と呼ばれる画学生。ロセッティと共にそれまでの古い美術観を打ち破るべく、ラファエル前派を名乗り創作活動を始める。

ロセッティの恋人であるリジーをモデルに描いた作品『オフィーリア』が高い評価を得たことで、ロセッティの嫉妬を買う。

実在の人物の生涯

ジョン・エヴァレット・ミレイ John Everett Millais (1829~1896)

11歳の時にロンドンのロイヤルアカデミースクールに史上最年少で入学し、わずか16歳でアカデミーの展覧会で入賞する。

1848年(19歳) ロセッティらとラファエル前派を結成。

1852年(23歳) ロイヤル・アカデミー展に、ロセッティの恋人リジーをモデルにした作品『オフィーリア』を出品し高い評価を得る。

1855年(28歳) ラファエル前派に思想的に大きな影響を与えた恩師でパトロンでもあるジョン・ラスキン(ひろ香祐)の元妻エフィー(瑠璃花夏)と結婚。以後8人の子どもをもうける。

家族を養うため、ラファエル前派の厳格な作風とは徐々に距離を置くようになり、その後は大衆の好む作品や肖像画を描き続けて成功を収めた。


ジョン・エヴァレット・ミレイ作『オフィーリア』

現在でも有名なエヴェレット・ミレイの絵画『オフィーリア』はロンドンのテート・ブリテンに展示されています。

ウィリアム・ホルマン・ハント(ウィル):碧海さりお

「ベアタ・ベアトリクス」あらすじより

ロイヤル・アカデミーでのロセッティの同級生。ロセッティ、エヴァレットと共にそれまでの古い美術観を打ち破るべく、プレ・ラファエライト・ブラザーフッド(前ラファエル兄弟団)を名乗り創作活動を始める。

実在の人物の生涯

ウィリアム・ホルマン・ハント William Holman Hunt (1827~1910)

1848年(21歳) ロセッティらとラファエル前派を結成。

数年後にグループが解散し、ロセッティやエヴァレットが創作の方向性を変えていく中で、最後までラファエル前派の特色を保った作品を描き続けた。

ジェイン・バーデン:水乃ゆり

「ベアタ・ベアトリクス」あらすじより

芝居小屋の女優。ロセッティ(極美慎)の絵のモデルとなり、その絵が高く評価されたことで、ロセッティは彼女に夢中になっていく。

実在の人物の生涯

ジェイン・バーデン Jane Burden のちにジェイン・モリス Jane Morris (1839~1914)

1857年(18歳) 妹と芝居を見に行った劇場でロセッティ(極美慎)に見出され、絵のモデルとなる

1859年(19歳) ロセッティの友人で資産家のウィリアム・モリス(大希颯)と結婚


ジェインがモデルとなったロセッティ作『プロセルピナ』

ジェインはモリスとの間に二人の娘をもうけますが、ロセッティとの関係も数十年続き、『プロセルピナ』(1874年、テート・ブリテン所蔵)などロセッティの後期の代表作の多くが、ジェインをモデルに描かれています。

ジェインは貧しい労働階級(馬丁の娘)に生まれ、ほとんど教育を受けずに育ちますが、モリスとの婚約を機に語学や音楽などあらゆる教養を身に着けて上流階級に仲間入りし、「マイ・フェア・レディ」のモデルにもなったと言われている人物です。

ウィリアム・モリス:大希颯

William Morris 1834~1896

詩人、思想家、デザイナーとして成功を収めた人物。特にデザインやインテリアの世界では「モダンデザインの父」「アーツアンドクラフツ運動の主導者」として有名。


ウィリアム・モリスの植物柄のデザインは、今でもテキスタイルやインテリア小物などによく使われているので、見たことのある方も多いと思います。

モリスは裕福な中産階級に生まれ、若くして父の莫大な遺産を相続。大学卒業後、ロセッティ(極美慎)と親しくなり、共に作品作りなどを行うようになる(モリスはロセッティより6歳年下)

1857年ロセッティと共に出掛けた芝居小屋でジェイン(水乃ゆり)に出会い、ロセッティ共々ジェインに夢中になる。

1858年モリスとジェインは婚約し、1859年に結婚。

ロセッティとジェインの関係はロセッティが亡くなるまで続き、2人の関係はしばしばロンドンのスキャンダルとなったが、モリスはそれを黙認するような姿勢を取っていたとされる。

ジョン・ラスキン:ひろ香祐

John Raskin 1819~1900

19世紀イギリスを代表する思想家・美術評論家。ロセッティをはじめとするラファエル前派の成立にも大きな思想的影響を与え、またパトロンとしてもラファエル前派の芸術家たちを支援した。

1848年に9歳年下のエフィー・グレイ(瑠璃花夏)と結婚するが、ラスキンが支援していた画家の1人であるエヴァレット(天飛華音)とエフィーが不倫関係になってしまい、1854年に離婚した。

エフィー・ラスキン:瑠璃花夏

Effie Raskin 結婚前はエフィー・グレイEffie Gray 1828~1897

ジョン・ラスキン(ひろ香祐)の妻で、後にエヴァレット・ミレイ(天飛華音)の妻。

幼少期からラスキンと交流があり、19歳で結婚するが、後にエヴァレットと不倫関係になり、裁判所にラスキンとの婚姻の無効を訴え離婚を成立させる。

1855年にエヴァレットと再婚し、8人の子どもをもうける。

ラスキン、エヴァレットとエフィーの三角関係は、19世紀イギリスを騒がせた一大スキャンダルとして、数多くの本やドラマの題材にもなっています。

ロセッティの家族

ガブリエーレ・ロセッティ:朝水りょう

Gabriele Rossetti 1783~1854

ダンテ・ガブリエル・ロセッティ(極美慎)の父親。
イタリア人で有名なダンテ詩人。1820年代前半のイタリア統一運動によりイギリスへの亡命を余儀なくされる。
イギリス亡命後に結婚し、4人の子どもをもうける。

クリスティーナ・ロセッティ:麻丘乃愛

Christina Georgina Rossetti 1830~1894

ダンテ・ガブリエル・ロセッティ(極美慎)の2つ下の妹。
詩人として活躍し、特に2つのクリスマスキャロルの詩で後世に知られている

ジェイムズ・コリンソン(煌えりせ)と婚約していたことがあるが、信教の違いから結婚には至らず、生涯独身だった。


クリスティーナ・ロセッティの著作

 

ロセッティたちラファエル前派と対立する?大人組

チャールズ・イーストレイク:朱紫令真

Charles Lock Eastlake 1793~1865(ロセッティの父親世代)

画家、美術史家。晩年にはイギリス美術界の重鎮となり、ロイヤルアカデミーの会長やナショナルギャラリーの館長などを務めた。
1849年に56歳でエリザベス(七星美妃)と結婚。

エリザベス・イーストレイク:七星美妃

Elizabeth Eastlake 1809~93、旧姓エリザベス・リグビー

美術史家、翻訳家。チャールズ・イーストレイク(朱紫令真)の妻。
ジョン・ラスキン(ひろ香祐)への批判的な批評でも知られている。

マーティン・アーサー・シー:颯香凜

Martin Archer Shee 1769~1850(ロセッティの父親より年上世代)

1830年から1850年までロイヤルアカデミーの会長を務めた人物。

ロセッティたちがラファエル前派を結成した当時のロイヤルアカデミーの会長のため、ロセッティたち若い勢力に反発する旧体制側の人物として描かれるのかなと思います。

ラファエル前派の仲間たち

以下の3名はいずれもラファエル前派のメンバーとして後世にも名前が残っている実在の人物です。

ジェイムズ・コリンソン:煌えりせ

James Collinson 1825~1881

画家。ロイヤルアカデミーの学生で、ロセッティたちが作ったラファエル前派のメンバーのひとり。
ロセッティの妹クリスティーナ(麻丘乃愛)と婚約したが、信教の違いから結婚には至らなかった。

トーマス・ウールナー:碧音斗和

Thomas Woolner 1825~1892

彫刻家。ロセッティ(極美慎)に誘われてラファエル前派に加わる。

フレデリック・ジョージ・スティーブンス:世晴あさ

Frederic George Stephens 1827~1907

美術評論家。ラファエル前派のメンバーの1人で、よくエヴァレット(天飛華音)らの絵のモデルとなっていた。

宝塚『ベアタ・ベアトリクス』主な配役で実在ではないと思われるキャスト

マーガレット:澪乃桜季

9/18追記:マーガレットはロセッティ(極美慎)たちが溜まり場にしている酒場の女主人の役でした。

ケアリー:羽玲有華

9/18追記:ケアリーはロンドンのスキャンダルを嗅ぎまわるゴシップ誌の記者役でした。

ダンテの幻影:奏碧タケル

ダンテは13~14世紀のイタリアの詩人。ロセッティ(極美慎)が崇拝している。

ベアトリーチェの幻影:星咲希

ベアトリーチェは、ダンテの代表作『新生』や『神曲』の中で理想の女性として描かれる存在

宝塚星組バウホール公演『ベアタ・ベアトリクス』公演情報・期別出演者

ミュージカル
『ベアタ・ベアトリクス』
作・演出/熊倉 飛鳥

公演期間:2022年9月8日(木)~9月19日(月)@宝塚バウホール

出演者:
ひろ香祐(95期)
朝水りょう(96期)
澪乃桜季(98期)
小桜ほのか、七星美妃(99期)
朱紫令真、極美慎、煌えりせ(100期)
碧海さりお、颯香凜(101期)
天飛華音、奏碧タケル、水乃ゆり(102期)
瑠璃花夏、羽玲有華、星咲希(103期)
碧音斗和、麻丘乃愛、世晴あさ、凛央捺はる(104期)
大希颯、瞳きらり、彩夏こいき、彩紋ねお(105期)
愛花いと、凰陽さや華(106期)
碧羽陽、和波煌、美玲ひな、藍羽ひより(107期)

 

宝塚歌劇でヴィクトリア朝時代の19世紀イギリス、というのは作品の中で比較的よく舞台になる時代のひとつです。

最近では2021年宙組公演『シャーロック・ホームズ』や2022年星組公演『ザ・ジェントル・ライアー』などが、19世紀イギリスを舞台にしています。(どちらも『ベアタ・ベアトリクス』で主に描かれると思われる時代よりも30年程後のお話ですが)

ただ、これまでロセッティやエヴァレット・ミレイなどこの時代の画家をメインに据えた宝塚作品はなかったと思うので、19世紀半ばのイギリス美術界に実在した人物たちが星組公演『ベアタ・ベアトリクス』ではどのように描かれるのか、とても楽しみです。

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