ミュージカル「ジェイミー」の観劇感想をさくっと

ミュージカル

ミュージカル「ジェイミー 」を観劇してきました。

 

日本で宝塚以外のミュージカルを観るのもかなり久しぶりで、「ジェイミー」の作品についても殆ど予備知識の無い状態で見に行ったので、さらっとした感想ですが備忘録用に。

 

観劇日のキャストはこちら

 

一言で総括すると、基本明るいタッチでエグさはあまり無い作品ですが、グッと来るシーンや歌がいくつもあり泣けました。

 

キャストも学生チーム・大人チームともに実力のある方々が集結している感じがして、見応えがありました。

 

ただ思っていたよりこじんまりとした作品というか、勝手にキンキーブーツやプロムあたりのショーアップされた大ナンバーを期待していたら、そういう場面は無かったので少し肩透かし感があったかなと。

 

以下ストーリー展開にも触れていてネタバレ気味だと思いますので、ご了承ください。

 

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ジェイミー(森崎ウィン)

ドラッグクイーンを夢見る高校生のジェイミーは、マイノリティな自分を全肯定してくれる母親のお陰で「ドラッグクイーンになりたい」という夢を無邪気にポジティブに育てている反面と、幼少期に父親に否定されたトラウマで自分に対しネガティブな感情も奥底にあって、その二つの自分を行ったり来たりしているんだなと。

 

森崎ウィンさん演じるジェイミーはビジュアルもキャラクターも無理がなく、ジェイミーのキュートで天真爛漫な部分と、繊細でネガティブな部分、両方がバランスよく存在している感じがしました。

スタイル抜群でジェイミーのドレス姿もとても似合っていたので、ドラッグクイーンとしてドレス姿で踊ったりショーをする場面も見てみたかったなと。

 

マーガレット(安蘭けい)ジェイミーの母

ジェイミーを常に全肯定し後押ししてくれる存在。学校でジェイミーが否定されても、家に帰ればマーガレットがその何倍もの熱量で肯定してくれる、というのは観ている側としても救われる気分になりました。

一方でジェイミーへの思いが大きく不器用過ぎて、父親のことで嘘をつき続けてしまう、嘘を成立させるためにどんどん自分を貧しくしてしまう、というマーガレットの切なく愚かな部分もよく描かれているなと。

安蘭けいさんのマーガレットは、ジェイミーを後押しする力強さが印象的でした。

 

マーガレットが歌う2曲If I Met Myself AgainとHe’s My Boyはどちらも泣かせますね。2幕のHe’s My Boyの方が歌い上げ系の大ナンバーかなと思うんですが、個人的には1幕のIf I Met Myself Againの方がマーガレットの切なさがよく出ていて好きでした。

「もし今、若い頃の自分に会えたらこう忠告するのに」という歌なんですが、若い頃のマーガレットと今のマーガレットが並んで同じ動きをするという演出が凄く良いなと。

 

ここで若い頃のマーガレットとしてファティマ役の伊藤かの子さんが2役で登場するんですが、セリフも歌も無い中で、若いマーガレットの恋してる感と、今のマーガレットに繋がる強さみたいなものが、表情だけで表現されていて印象的でした。

 

プリティ(田村芽実)ジェイミーの親友

今回ジェイミーを観て、役としても田村芽実さん自身もとても印象に残りました。

プリティとジェイミーはお互い「普通」から外れている者同士の親友で、でもプリティの方が精神的にずっと大人です。

プリティは「普通じゃなくても自分らしくいる」ということに既に覚悟が決まっているというか、自分の中で整理ができていて、だからこそジェイミーを励ますことができるんだなと。

 

プリティを演じる田村芽実さん、元アンジュルムのメンバーだったそうなんですがアイドル時代のことは全然知らず。ただ別ルートで情報をフォローしていたブランドデザイナーの赤澤えるさんがプロデュースしたMVを見たことがあって。

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若いけどとてもアーティスト的な子だな、良い感性を持っているんだろうなという印象を受けました。

 

今回のジェイミーで初めて田村芽実さんの舞台姿を見てみて、ものすごく「染みる歌」を歌う役者さんだなぁと思いました。

声も良いし歌の技術的な部分もしっかりしていると思うんですが、それとはまた別の次元で人の心にグサグサ刺さる歌や芝居をする人だなと感じたので、これからの活躍が楽しみです。

 

私の前の席でお母さんと娘さん(ジェイミーと同世代位)が観劇していたんですが、マーガレットがジェイミーを思って歌うナンバーではお母さんが、プリティがジェイミーを勇気づけるナンバーの時には娘さんが号泣しているのが見えて、きっと2人にとって良い時間だっただろうなと。

 

ミス・ヘッジ(実咲凛音)担任の先生

同級生のディーンと担任の先生ミス・ヘッジは「世間の壁」というのを体現する存在の2人だと思うんですが、物語の後半でジェイミーが向き合っていく順番が、父親→母親→ミス・ヘッジ→ディーンなので、ラスボス的に見えがちな割に、二人がジェイミーを認めない動機がちょっと弱いというかクリアに見えなかったかなぁと。

 

ミス・ヘッジは冒頭の場面から「大きな野望を持たずに現実を見なさい」と言い続けている人物ですが、そんなに頭の堅い先生という感じではなくチャーミングな部分も描かれていて、割と「話の分かる人」のようにも見えたので、保護者から反対されただけで最後ジェイミーにあそこまで強硬な態度を取るかな?と。

 

例えば似たような題材を扱っているミュージカル「プロム」で最後まで主人公に立ちはだかるPTA会長は、自分の娘が主人公の相手という当事者だから、何が何でも認めるわけにはいかない、というのが納得できるんですよね。

 

一方でミス・ヘッジは自分でも「妥協して教師になった」と言っていて、教育者としての理想や使命感に燃えているタイプでもないので、別にジェイミーがどうなろうが、保護者から多少クレームが来ようが、彼女にとってはそんなに危機的ことでもないのでは?と思ってしまいました。

たとえば「ここでモメられたら『電話の彼』とのデートに遅れちゃう!」位の、もっとミス・ヘッジの個人的な理由の方が、ジェイミーへの最後の態度に納得感があったかなぁなんて。

 

あくまで予備知識なしで1回見ただけでの感想なので、何回か観ると見えてくるものがあるのかもしれません。

 

その他のキャスト

ジェイミーのドラッグクイーンの先輩方は、私でもお名前を知っていて他の舞台で何度も観たことがあるキャストの方々で、もう大迫力でした。

特に今井清隆さんが、ジェイミーの父親とドラッグクイーンの2役で、そのギャップが素晴らしかったです。

ジェイミーの父としてもドラッグクイーンのサンドラとしても複数回登場するので、1回の公演中に何回化粧替えをされているんだろう?とその大変さを考えると驚愕でした。

 

学生チームの中ではヴィッキー役の田野優花さん。

AKB48時代に宮本亜門演出のオズの魔法使いで、主役のドロシー役に抜擢されるオーディション番組がとても印象に残っていて。

その後も色々な舞台の出演者として名前を見掛けて、いつか舞台姿を見てみたいなと思っていたので、今回彼女の武器である溌溂としたダンスを生で見られて良かったです。

 

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ジェイミー楽曲リスト

各曲邦題があるのかもしれませんが、日本版のプログラムは買っていないのでウエストエンド版の英語タイトルでのリストです

Everybody’s Talking About Jamie

Act One

“And You Don’t Even Know It” – Jamie, Miss Hedge & Year 11

“And You Don’t Even Know It Tag” – Jamie

“The Wall in My Head” – Jamie

“Spotlight” – Pritti & Year 11 Girls

“Spotlight (Reprise) (Star of the Show)” – Jamie & Pritti

“The Legend of Loco Chanelle (and the Blood Red Dress)” – Hugo & the Legs Eleven Girls

“The Legend of Loco Chanelle (and the Blood Red Dress)” (Reprise) – Hugo

“If I Met Myself Again” – Margaret

“Work of Art” – Miss Hedge, Jamie, Dean & Year 11

“Over the Top” – Hugo & the Legs Eleven Girls

 

Act Two

“Everybody’s Talking About Jamie” – Year 11

“Limited Edition Prom Night Special” – Jamie, Ray & Margaret

“It Means Beautiful” – Pritti

“It Means Beautiful” (Reprise) – Pritti

“Ugly in This Ugly World” – Jamie

“He’s My Boy” – Margaret

“And You Don’t Even Know It” (Bus Station Reprise) – Jamie

“My Man, Your Boy” – Jamie & Margaret

“The Prom Song” – Year 11

“Finale” – Company

“Out of the Darkness (A Place Where We Belong)” – Company