星組「1789」新人公演の感想と本公演からの変更点まとめ

宝塚星組

星組公演「1789-バスティーユの恋人たち-」の新人公演をライブ配信で見ました。

宝塚大劇場での新人公演は中止になってしまったため、東京公演での1回限りの新人公演でしたが、主演の稀惺かずと、ヒロインの詩ちづるをはじめ粒ぞろいの実力者による見応えのある舞台だったなと思いました。

星組1789新人公演の配役はこちら

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そんな良質な星組新人公演の中でも、特に印象に残ったメンバーの感想と、舞台構成で本公演から変更になっていた点をまとめておきたいと思います。

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星組「1789」新人公演の感想

ペイロール:大希颯 期待以上の迫力とスケール感に驚き

ロナンの仇でありフランスの軍隊を指揮するペイロール伯爵。1789の中ではアルトワ伯と並んで悪役サイドにいる役どころです。

大希颯はかなり下級生の頃から、舞台姿にスケール感のある男役だなという印象でした。

そのスケール感がこれまでは「大らかさ」として舞台に出ているなと思っていたのですが、今回のペイロール役ではそのスケール感を「迫力」「威圧感」へ完璧に転換して使いこなしていたなと。

大希颯のペイロールは観る前から自分の中で期待値が高かったのですが、それを上回る圧のある悪役ぶりに嬉しい驚きでした。これまでの舞台から、勝手にもう少し甘さが残った雰囲気になるかなと思っていたのですが、むしろ本役の輝月ゆうまよりも威圧的で黒いペイロールだったのではないかなと。

輝月ペイロールは威圧感の中にも若干軽さというか役人感を感じるのですが、大希ペイロールはより自己陶酔度合いが強い「ヤバイ悪役」に仕上がっていました。低い男役声も仕上がっていて歌も上手い人なので、これからの活躍が益々楽しみです!

ダントン:碧音斗和 上手すぎて安定感にもはや笑うしかない

革命家仲間3人のひとり、ダントン(本役:天華えま)ですが、碧音斗和は今回の新人公演の中で「上手すぎて笑った大賞」筆頭でした。

元々上手い人だというのは重々承知していたのですが、今回の碧音斗和ダントンは何というか圧倒的な安定感で、新人公演特有の揺らぎが全く感じられない舞台姿でした。極端に言うと、本公演で毎日演じている人が1人だけ新人公演に特出した?位の成熟振りで、もはや笑ってしまいました。

碧音斗和は今回の東京公演を最初の1週間休演しているので、他のメンバーよりも稽古期間は短いのではと想像するのですが、それでこの安定感は本当に恐るべし、、、です。

デムーラン:御剣海 明るいスターらしさで今後が楽しみ!

1789の新人公演配役が発表された時、個人的に一番嬉しかったのが御剣海デムーラン(本役:暁千星)でした。

御剣海は最近の星組の代役功労者だと思っていて、全国ツアー「モンテクリスト伯」の時には、梅田では紘希柚葉の代役に入り、神奈川では蒼舞咲歩の代役に入っていました。

今回の1789でも、碧音斗和休演時に冒頭の税務役人やサンドニ大聖堂のデュエットダンスの代役に入っていて、注目していました。

あのビジュアルとスタイルにも関わらず、前回の新人公演はイヴァネ・ザカリアン(本役:ひろ香祐)役だったりと、これまで意外にも真ん中付近の役が付いていなかったので、今回デムーラン役が来て良かったなと。

 

御剣海のデムーランは何だか明るかったですね。暁デムーランよりも軽めの台詞回しでちょっと冗談めかしたニュアンスがあるというか、根アカなデムーランでした。

婚約者リュシル役の乙華菜乃も華のある明るいタイプの娘役なのでお似合いで、本公演の暁千星&詩ちづるとは全然違う雰囲気の二人になっていました。

御剣デムーランの歌やお芝居は新人公演らしい粗削りな部分もありましたが、もの凄く陽のパワーのある舞台人だということが伝わってきてスター性を感じたので、これからの舞台姿も楽しみです。

ラマール:世晴あさ 振り切ったコメディぶりがセンス良し

1789新人公演でのアルトワ伯の手下3人組ラマールとロワゼル(和波煌)、トゥルヌマン(世奈未蘭)は、本公演と比べてコメディ度をかなり上げてきていましたね。

特にラマールの世晴あさはオランプ大好き度がかなりアップしていてい、あの大きな体でオランプちゃんを追いかけまわしている姿が面白かったです。一発勝負の新人公演でのコメディは結構難しいと思うのですが、一辺倒になり過ぎることもなく、必死感が出ることもなかったので、世晴あさも芝居センスのある上手い人だなと感じました。

 

娘役でもアントワネットの瑠璃花夏やソレーヌの鳳花るりなを筆頭に、素晴らしい出来だったメンバーが多すぎて挙げるとキリが無いのでこの辺りで。

星組「1789」新人公演での変更点まとめ

「1789」新人公演では、2幕物のお芝居を1幕に短縮するため、場面や楽曲のカットが多数発生します。

一番大きな変更は、アントワネットの登場シーンである「全てを賭けて」のナンバーがカットされ、その中で登場する貴族側のメンバーを、代わりにアルトワ伯とラマール達が銀橋で説明する、という本公演には無い新しい芝居が加わったことかなと思います。

 

ちなみに今回の星組も、2016年月組初演も、新人公演の演出担当が谷貴矢先生のため、「全てを賭けて」カットによる改変の流れなどはほぼ同じでした。

 

記憶漏れなどもあるかと思いますが、2023年星組新人公演での本公演との変更点をまとめておきます。(場面表記は、新人公演ではなく本公演でのものです)

 

星組1789本公演のセットリストはこちら

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第1幕

第2場A パリの街角

冒頭の市民たちの歌パートはカットで、デムーランとロベスピエールの台詞から始まる

第3場 ヴェルサイユ宮殿

アントワネットのナンバー「全てを賭けて」は全カット

トランプの男や女は登場せず。

代わりに銀橋でアルトワ伯へ、ラマール、ロワゼル、トゥルヌマンが王妃のサロンでの様子、ルイ16世がギロチンに熱中していること、王太子の新しい養育係オランプの存在などを報告する、という新たな芝居が追加

2016年月組初演も今回の星組も、新人公演の演出担当が谷貴矢先生なので、ここの説明の流れは月組の時と大体同じでした。

その時に本舞台でオランプ、アントワネット、ルイ・ジョセフが姿だけ写る演出に

ギヨタン博士は登場せず、ルイ16世がネッケルに花道でギロチンの仕掛けを見せるように

 

第4場A パレ・ロワイヤル

「パレ・ロワイヤル」でロナンが登場してからすぐ歌い出していた気がするので、ナンバーが一部短縮されていたかな?と思います。

第5場 バスティーユの監獄

ペイロールがロナンを拷問する「耐えてみせる」のナンバーは短縮版に。

第8場A ムニュ・プレジール館

「三部会」のナンバーや場面は全カットで、ルイ・ジョセフの体調が悪くなる場面からスタート。

第10場B サン・ドニ大聖堂

オランプのソロ曲「許されぬ愛」はカットで、「この愛の先に」の後にオランプが「さようならロナン」と別れを告げて立ち去る演出に。

ヒロイン唯一ソロを丸々カットというのはなかなかの衝撃でした。

第12場A パレ・ロワイヤル

幕前芝居でロナンがソレーヌ、リュシルと話しているところへ印刷工仲間がやってきて、(会議場の門の前ではなく)球戯場へ行こうとなる。

第12場B ムニュ・プレジール館前→場面カット

本公演では1幕ラストになるロナン~革命家たち~アントワネットの「声なき言葉」は全カット。

第2幕

第1場 球戯場

パレ・ロワイヤルの幕前芝居から、そのまま第2幕の「誰の為に踊らされているのか?」へ。新人公演では客席からの登場は無し。

第3場 サン・ドニ大聖堂

「愛し合う自由」のナンバーはカット

銀橋には行かず、本舞台で芝居後そのまま銃をロナンがオランプに渡す流れに。

第7場A ヴェルサイユ宮殿

貴族がヴェルサイユから立ち去っていく「革命が始まる」のナンバーはカットで、ポリニャックが立ち去る場面からスタート。

第10場 人権宣言

最後の「悲しみの報い」のナンバーは新人公演ではアルトワ伯も参加

 

ライブ配信で一度見た記憶でのまとめですので、抜け漏れや記憶違いなどもあるかと思います。その点はどうぞご了承ください。