月組「月の燈影」花組初演との配役比較とネタバレ無しあらすじ

宝塚月組

2023年月組で『月の燈影』(つきのほかげ)が再演されます。

2002年に花組:彩吹真央・蘭寿とむW主演で初演された当時から大好きな作品だったので、まさか再び「月の燈影」の世界に出会えるとは、本当に感無量です。

以前花組初演版の「月の燈影」について一度書いているのですが、2023年月組版の配役が発表されたので、改めて月組予習用としてのあらすじ&登場人物まとめをしておきます。

なお、この先の登場人物まとめでは、結末までのネタバレはしていませんが、途中までの展開はある程度記載していますのでご注意ください。

 

月組版「月の燈影」の主な配役では、出演者全員に役名が付く形になっており、初演版では1人二役していた役も別々のキャストに振り分けられている印象です。

また、花組初演では幸蔵と次郎吉がW主役でしたが、2023年月組版では礼華はる演じる幸蔵が主人公である、と明記されています。

そのため、花組初演版とは各配役の比重や役どころ自体が変わる可能性があります。あくまで初演での役どころという点をご了承ください。

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「月の燈影」主な登場人物とキャスト

幸蔵:礼華はる

2002年花組 彩吹真央
2023年月組 礼華はる

「川向う」のばくち打ち
川向うに流れて来たばかりの頃は淀辰(夏美よう)の配下にいたが、今では縁を切り、両国を拠点に通り者(行き場の無いばくち打ちの若者)たちに「兄ぃ」と慕われる良きリーダーになっている。

元は江戸の三味線弾きの息子で、幼馴染の次郎吉(彩海せら)と一緒に火消になった。江戸にいた時は幸(さち)という名前で、次郎吉からは「さっちゃん」と呼ばれている。

父親の借金により姉のお勝(麗泉里)が身売りされたと聞き、火消の組を飛び出したきり行方知れずになっていた。

次郎吉:彩海せら

2002年花組 蘭寿とむ
2023年月組 彩海せら

「江戸」二番組火消ろ組の火消し(消防隊員)

火消しの仕事に誇りを持つ純粋でまっすぐな若者、周囲からは「犬みたい」と言われ、からかわれがちだが愛されキャラ。

兄のように慕っていた幸(礼華はる)が行方知れずになったことに「自分が火消しに誘ったせいではないか」とずっと罪悪感を抱いていて、数年後に再会した幸蔵を追いかけて川向うへ深入りしていく。

喜の字:天紫珠李

2002年花組 沢樹くるみ
2023年月組 天紫珠李

「川向う」にある門前仲町の芸者
幼くして妾奉公に出されたが、ようやく年季が明け、今は誰にも囲われずに自前の芸者として生活している。

淀辰(夏美よう)経由で、幕府の要人から妾になるよう迫られているが、きっぱりと断る肝の据わった女性。

幸蔵を追ってお座敷に乱入してきた次郎吉(彩海せら)と惹かれ合うようになる。

淀屋辰五郎:夏美よう

2002年花組 夏美よう
2023年月組 夏美よう

通称「淀辰」(よどたつ)。「川向う」一体を仕切る地回り(ヤクザ)で、裏社会のドン的存在。

かつて自分の配下にいて今は決別している幸蔵(礼華はる)に対し、また手を組もうと執着している。

淀辰は「月の燈影」の悪役側の大ボスなのですが、独特の雰囲気のある曲者キャラクターなので、初演と同じ夏美ようさんが演じられるのがとても楽しみです!

丑右衛門:悠真倫

2002年花組 一樹千尋
2023年月組 悠真倫

次郎吉(彩海せら)が属する江戸の町火消「ろ組」の頭。

かつて自分の組にいて行方知れずになった幸蔵(礼華はる)のことも気にかけている、情に厚く子分思いの良き親分。

初演では当時まだ研9ながら、大八木役を見事に演じていた悠真倫さんが、再演では丑右衛門役で出演ということで、こちらも楽しみです!

大八木七兵衛:春海ゆう

2002年花組 悠真倫
2023年月組 春海ゆう

「江戸」北町奉行所の同心(どうしん・江戸幕府の下級役人で警備・犯罪取締などを担当)

江戸の町の揉め事をさばく人情味のある良きお役人。川向うの取り締まりには上から待ったが掛かるため、見逃さざるを得ない状況が続いている。

冒頭の9年後では、大泥棒・ねずみ小僧を捕えた立役者とされていて、この物語の見届け人的な立ち位置にいる。

お勝:麗泉里

2002年花組 奈月みか
2023年月組 麗泉里

幸蔵(礼華はる)の姉。父親の借金により身売りされてしまい、幸蔵が川向うの住人となるきっかけになる。

初演では回想シーンのみの登場だった幸蔵の姉ですが、2023年月組版解説には、幸蔵が「次郎吉と別れ、再び巡り会うまでの時に奥行を持たせ描き上げる」と書かれているので、お勝の出番も増えそうだなと想像しています。

新助:一輝翔琉

2002年花組 桐生園加
2023年月組 一輝翔琉

喜の字(天紫珠李)の弟で、髪結いとして働いている。

芸者の元吉(咲彩いちご)に惚れ込んでいて、金を作るために川向うの賭場へ出入りするようになる。

お壱:花妃舞音

2002年花組 桜一花
2023年月組 花妃舞音

川向うで生まれ育った巾着切り(スリ)
幸蔵(礼華はる)の通り者仲間の1人で、幸蔵に片想いしている。

伊七:真弘蓮

2002年花組 望月理世
2023年月組 真弘蓮

川向うの通り者。元は幸蔵(礼華はる)の弟分だったが、今では裏切って淀辰(夏美よう)側についている。

幸蔵(礼華はる)の通り者仲間たち

粂八:大楠てら

2002年花組 嶺輝あやと
2023年月組 大楠てら

通り者たちの中でも幸蔵(礼華はる)からの信頼が厚く、まとめ役的なポジション。

粂八は男気のある良いキャラクターなのですが、初演の嶺輝あやとさんも長身だったので、お壱(桜一花/花妃舞音)から「ぬりかべ!」と呼ばれたりしていました。再演ではどうなるのか楽しみです。

芳三:空城ゆう

2002年花組 音瀬朱夏
2023年月組 空城ゆう

三吉:彩路ゆりか

2002年花組 瑠音舞佳
2023年月組 彩路ゆりか

おとせ:静音ほたる

2002年花組 隼颯希
2023年月組 静音ほたる

淀辰(夏美よう)側の登場人物

おゑん:梨花ますみ

2002年花組 城火呂絵
2023年月組 梨花ますみ

淀辰(夏美よう)の女房で船宿のおかみ
川向うを知り尽くした存在で、幸蔵(礼華はる)の頭の良さを見抜き評価している。

文字春:天愛るりあ

2002年花組 幸美杏奈
2023年月組 天愛るりあ

川向うの端唄の町師匠。
悪事も川向うの流儀と言い切るさばけた性格で、淀辰(夏美よう)のために色々と動き回っている。

松廼屋六八:蘭尚樹

2002年花組 月路奏
2023年月組 蘭尚樹

淀辰(夏美よう)配下の料理屋?の番頭のようなポジション。初演ではお調子者的なキャラクター。

藤助:和真あさ乃

2002年花組 千尋悠
2023年月組 和真あさ乃

淀辰(夏美よう)一派の手下

喜の字(天紫珠李)の芸者仲間

蝶之助:妃純凛

2002年花組 翔つかさ
2023年月組 妃純凛

喜の字(天紫珠李)の同僚の芸者。

元吉:咲彩いちご

2002年花組 華城季帆
2023年月組 咲彩いちご

喜の字(天紫珠李)の同僚の芸者で妹分。喜の字の弟の新助(一輝翔琉)に惚れられている。

「月の燈影」その他の配役

莚蔵:朝陽つばさ

2002年花組 紫陽レネ
2023年月組 朝陽つばさ

次郎吉(彩海せら)と新助(一輝翔琉)が川開きの日に訪れるかんざし屋の店主。

橋本佐内:柊木絢斗

2002年花組 音瀬朱夏
2023年月組 柊木絢斗

幕府の役人で大八木(春海ゆう)の同僚。初演では本編から9年後の冒頭シーンに登場する役です。

与茂七:槙照斗

2002年花組 紫陽レネ
2023年月組 槙照斗

川向うの通り者。初演では2幕から公演プログラムに名前のある役ですが、幸蔵側なのか淀辰側なのかちょっとわかりませんでした。

筆松:水城あおい

2002年花組 紫峰七海
2023年月組 水城あおい

次郎吉(彩海せら)の火消仲間

お橘:澪花えりさ

2002年花組 姿央みやび
2023年月組 澪花えりさ

次郎吉(彩海せら)の火消仲間の妹。借金の形として川向うに連れ去られそうになる。

「月の燈影」初演には無い配役

以下の配役は、初演の公演プログラムには役名がありませんでした。

初演より今回の再演の方が出演者の数も多いので、幸蔵(礼華はる)の通り者仲間を増やすか、淀辰(夏美よう)の手下を増やすなどが考えられるかなと思います。

甚吉:甲海夏帆

清次:月乃だい亜

お鈴:蘭叶みり

安五郎:大瀬いぶき

源公:相星旬

「月の燈影」時代背景とネタバレ無しあらすじ

江戸時代後期・文政六年(1823年)夏、現在の東京・隅田川の東側、両国や深川あたりが「月の燈影」の舞台となります。

当時、隅田川(劇中では「大川」と呼ばれる)の東側は「川向う(かわむこう)」と呼ばれ、一種の無法地帯となっていました。

*月組再演版の作品紹介では「川向う」ではなく「向両国」と表記されているので、もしかすると川向うという表現は再演では使われないのかもしれません

「川向う」は幕府の市街地拡大策によって「江戸」の一部になったものの、幕府の目が行き届かないことが多く、岡場所(非公認の遊郭)や賭博場などが集まる「なんでもあり」の歓楽街と化していて、「江戸」にいられなくなった訳アリの人たちが逃げ込む場所にもなっていました。

そんな川向うで生きる訳アリ代表が幸蔵(礼華はる)で、それと対照的な真っ当な人物代表が江戸の町火消の次郎吉(彩海せら)です。

幸蔵と次郎吉は幼馴染で、一緒に江戸の火消になったものの、ある時突然幸蔵は姿を消し、再会した時には、川向うのならず者達から慕われるリーダー的存在になっていました。

幸蔵は「次郎吉のことは知らない」と別人の振りをするものの、小さい頃から幸蔵を慕っていた次郎吉は川向うまで追いかけていき、芸者の喜の字(天紫珠李)やその弟・新助(一輝翔琉)と親しくなったりと、幸蔵のテリトリーに顔を出すようになります。

また川向うの裏社会を取り仕切る淀辰(夏美よう)は、かつての手下で現在は決別している幸蔵に、また手を組もうと誘い執着しています。

一方、次郎吉の火消の親分・丑右衛門(悠真倫)は、奉行所の役人・大八木(春海ゆう)から、幸蔵と姉お勝(麗泉里)の名前が人別帳(戸籍)から消されていると聞きます。

なぜ幸蔵は川向うの住人になったのか、そして川向うで再会した幸蔵と次郎吉に、喜の字を巡る淀辰の陰謀が絡み、ある事件が起きて……という展開です。

月組公演『月の燈影』公演情報・期別出演者

バウ・ミュージカル
『月の燈影(ほかげ)』
作・演出/大野 拓史

公演期間:
2023年6月14日(水) ~6月25日(日)@宝塚バウホール

出演者:
月組
梨花ますみ(67期)
春海ゆう(96期)
麗泉里(98期)
朝陽つばさ(99期)
蘭尚樹、空城ゆう、妃純凛(100期)
天紫珠李、礼華はる、甲海夏帆(101期)
彩海せら、天愛るりあ、柊木絢斗、大楠てら(102期)
彩路ゆりか(103期)
咲彩いちご、真弘蓮、月乃だい亜(104期)
静音ほたる、槙照斗、水城あおい(105期)
花妃舞音、和真あさ乃、蘭叶みり、大瀬いぶき(106期)
澪花えりさ、一輝翔琉、相星旬(107期)

専科
夏美よう(62期)
悠真倫(81期)