月組で再演「花の業平」あらすじと星組初演キャスト「応天の門」との配役比較

宝塚月組

2025年月組全国ツアー公演で「花の業平」が再演されることになりました。この作品は平安時代の貴族社会を舞台に、在原業平と藤原高子の恋模様を描いた作品です。

今回主演する月組トップコンビ鳳月杏と天紫珠李は、2023年月組公演「応天の門」でも在原業平と藤原高子を演じていて、同じ役を別の作品で再び演じることでも注目を集めています。

「花の業平」の主な登場人物とあらすじ、星組でのキャスト、月組「応天の門」の配役との比較など、観劇の予習用にまとめておきます。

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「花の業平」あらすじと「応天の門」との繋がり

「花の業平」と「応天の門」は共に平安時代初期(860年~70年頃)、清和天皇の時代を舞台にしています。

藤原氏を中心とした平安貴族社会の権力争いを背景に、そことは一線を画し雅男として生きてきた在原業平と、藤原氏の娘高子との恋模様が「花の業平」の主軸となります。

月組公演「応天の門」での在原業平と藤原高子は、駆け落ち後の引き離された状態ですが、「花の業平」では、宮中の花の舞で業平が高子を見初める出会いの場面から描かれます。

高子と多美子の入内時期を巡る藤原一族内での対立や、業平と高子の「白玉」のやりとりなど、「応天の門」と共通するエピソードも登場します。

高子の兄、基経が悪役寄りの2番手ポジションとして描かれ、多美子の兄、常行は藤原一族でありながら良い人という立ち位置で描かれるのも「応天の門」と同じです。

ちなみに「応天の門」で千海華蘭が演じていた清和帝ですが、「花の業平」では劇中名前はよく挙がるものの、役としては登場しません。

貴族社会以外の要素としては、業平と親交のある人物として、商人の頭領・梅若が登場し、宮中とは違った空気感を担っています。

「花の業平」は2001年に星組・稔幸、星奈優里のトップコンビで初演され(宝塚大劇場のみ)、続けて同年香寿たつき、渚あきのトップコンビお披露目公演でも上演されています(東京宝塚劇場のみ~翌2002年2月中日劇場公演)

私も星組で上演された「花の業平」を観劇しているのですが、平安貴族社会のど真ん中にいる人たちが主人公なので、「応天の門」よりもさらに華やかで、しっとりとした大人の恋物語という印象です。

今回20年以上ぶりの再演になりますが、「花の業平」と「応天の門」では、藤原一族など共通する登場人物が多いので、見比べる楽しみもできそうですね。

「花の業平」主な登場人物と星組・月組での配役比較

在原業平:鳳月杏

ありわらのなりひら

『伊勢物語』の主人公とされる人物。

歌人として名高い眉目秀麗な貴公子で、恋の噂が絶えない雅男。

天皇家の血筋だが権力の本流からは離れた家柄のため、藤原家一族が牛耳る政界では、政治的な要職から外されている。

新人公演
2001年星組宝塚 稔幸 真飛聖
2001年星組東京 香寿たつき 真飛聖
2002年星組中日 香寿たつき
2025年月組全国 鳳月杏
2023年月組
応天の門
鳳月杏 一輝翔琉

 

藤原高子:天紫珠李

ふじわらのたかいこ

太政大臣・藤原良房の養女。時の天皇である清和帝への輿入れが計画されている。

「花の業平」でも「応天の門」でも、高子は兄・基経に反抗したりと意思の強い人物ですが、「花の業平」の高子の方がよりエネルギッシュで、藤原家の権力争いの道具として自分が使われることに抗う姿が強く描かれているなと思います。

新人公演
2001年星組宝塚 星奈優里 映美くらら
2001年星組東京 渚あき 叶千佳
2002年星組中日 渚あき
2025年月組全国 天紫珠李
2023年月組
応天の門
天紫珠李 きよら羽龍

藤原基経

ふじわらのもとつね

高子(天紫珠李)の兄で、同じく太政大臣・藤原良房の養子。

基経は「応天の門」と同様、妹の高子を政治の道具としてしか見ておらず、権力志向の強い悪寄りの立ち位置で描かれています。

新人公演
2001年星組宝塚 香寿たつき 椿火呂花
2001年星組東京 汐風幸 涼紫央
2002年星組中日 汐風幸
2025年月組全国
2023年月組
応天の門
風間柚乃 瑠皇りあ

梅若

うめわか

京の街の商人たちをまとめる頭領。元貴族。在原業平(鳳月杏)と親交がある。

梅若は主な登場人物の中でひとり貴族ではなく商人という立場で、自由に動き回る奔放なキャラクターです。劇中での大事件、「応天門の変」も梅若の語りから始まります。

商人たちの中心で歌うナンバーもあり、観客にも印象付きやすい良い役ですね。

新人公演
2001年星組宝塚 絵麻緒ゆう 柚希礼音
2001年星組東京 彩輝直 柚希礼音
2002年星組中日 彩輝直
2025年月組全国

安倍清行

あべのきよゆき

在原業平(鳳月杏)の学友。

業平と同じく藤原一門ではないため、不遇の身。

安倍清行は貴族の中では明るい感じのポジションで、藤原国経と対になって、業平の色男ぶりを語るナンバーや、東国巡りのナンバーがあります。

新人公演
2001年星組宝塚 初風緑 涼紫央
2001年星組東京 初風緑 大真みらん
2002年星組中日 初風緑
2025年月組全国

「花の業平」で高子・基経側の藤原氏

藤原良房

ふじわらのよしふさ

太政大臣。高子(天紫珠李)・基経の養父で、時の権力者。

新人公演
2001年星組宝塚 汝鳥伶 雪路歌帆
2001年星組東京 汝鳥伶 嶺恵斗
2002年星組中日 汝鳥伶
2025年月組全国
2023年月組
応天の門
光月るう 彩路ゆりか

藤原国経

ふじわらのくにつね

基経、高子(天紫珠李)の弟。
*「応天の門」や史実では基経、高子の兄

国経は基経の金魚のフン的な軽めの存在として描かれています。業平(鳳月杏)のことは気に食わない奴だと思っていて、安倍清行と対になって業平の色男ぶりを野次るナンバーがあります。

新人公演
2001年星組宝塚 夢輝のあ 大真みらん
2001年星組東京 夢輝のあ 綺華れい
2002年星組中日 麻園みき
2025年月組全国
2023年月組
応天の門
彩音星凪 大瀬いぶき

順子

よりこ

良房の妹で、高子(天紫珠李)の叔母。清和帝の祖母にあたる。

高子が暮らす五条の屋敷の主で、業平(鳳月杏)と高子の関係を黙認する。

新人公演
2001年星組宝塚 朋舞花 彩愛ひかる
2001年星組東京 万里柚美 彩愛ひかる
2002年星組中日 万里柚美
2025年月組全国

「花の業平」で基経と対立する側の藤原氏

藤原良相

ふじわらのよしみ

右大臣。兄の太政大臣・良房に対しライバル心を持っていて、娘の多美子を先に天皇に嫁がせようと動く。

新人公演
2001年星組宝塚 英真なおき 美城れん
2001年星組東京 英真なおき 青空弥ひろ
2002年星組中日 英真なおき
2025年月組全国
2023年月組
応天の門
春海ゆう 爽悠季

藤原常行

ふじわらのときつら

良相の息子。業平(鳳月杏)とは学友で、藤原一門でありながら業平の立場を心配する。

常行は「応天の門」同様、藤原一族ながら主人公サイドに協力する側の人物として描かれています。

新人公演
2001年星組宝塚 安蘭けい 拓麻早希
2001年星組東京 安蘭けい 彩海早矢
2002年星組中日 安蘭けい
2025年月組全国
2023年月組
応天の門
礼華はる 遥稀れお

藤原多美子

ふじわらのたみこ

良相の息子で常行の妹。時の天皇である清和帝への輿入れが計画されている。

新人公演
2001年星組宝塚 秋園美緒 陽色萌
2001年星組東京 秋園美緒 陽色萌
2002年星組中日 秋園美緒
2025年月組全国
2023年月組
応天の門
花妃舞音 澪花えりさ

「花の業平」藤原氏以外の貴族や皇族たち

恬子

やすこ

伊勢斎宮を務める内親王

恬子内親王は出番は限られますが、業平(鳳月杏)と二人のシーンもある大きな役です。

新人公演
2001年星組宝塚 琴まりえ 千琴ひめか(はいだしょうこ)
2001年星組東京 琴まりえ 千琴ひめか
2002年星組中日 琴まりえ
2025年月組全国

伴善男

とものよしお

大納言。「応天門の変」を巡る政変に巻き込まれる。

新人公演
2001年星組宝塚 鈴鹿照 水城レナ
2001年星組東京 鈴鹿照 水城レナ
2002年星組中日 鈴鹿照
2025年月組全国
2023年月組
応天の門
夢奈瑠音 毬矢ソナタ

伴中庸

とものなかつね

大納言・伴善男の息子。

藤原氏以外の貴族チームとして、安倍清行や真信と同じ場面にも登場します。

新人公演
2001年星組宝塚 涼紫央 大河睦
2001年星組東京 大真みらん 一輝慎
2002年星組中日 大真みらん
2025年月組全国
2023年月組
応天の門
柊木絢斗 相星旬

真信

業平(鳳月杏)の友人。

藤原氏以外の貴族チームとして、安倍清行と行動を共にすることが多い役です。

新人公演
2001年星組宝塚 椿火呂花 彩海早矢
2001年星組東京 涼紫央 真汐薪
2002年星組中日 涼紫央
2025年月組全国

業平や高子の従者、侍女たち

春景

業平(鳳月杏)の従者。若葉という恋人がいる。

新人公演
2001年星組宝塚 朝澄けい 銀河亜未
2001年星組東京 朝澄けい 銀河亜未
2002年星組中日 朝澄けい
2025年月組全国

秋宗

業平(鳳月杏)の従者。

新人公演
2001年星組宝塚 真飛聖 凜華せら
2001年星組東京 真飛聖 凜華せら
2002年星組中日 真飛聖
2025年月組全国

若葉

高子(天紫珠李)の侍女で、春景の恋人。

新人公演
2001年星組宝塚 映美くらら 陽月華
2001年星組東京 叶千佳 陽月華
2002年星組中日 叶千佳
2025年月組全国

吉野

高子(天紫珠李)の乳母。業平と高子の関係を心配している。

新人公演
2001年星組宝塚 万里柚美 毬乃ゆい
2001年星組東京 しのぶ紫 毬乃ゆい
2002年星組中日 しのぶ紫
2025年月組全国

梅若の仲間の商人たち

しび

京の町の商人。梅若を頭領と慕う。

新人公演
2001年星組宝塚 にしき愛 涼麻とも
2001年星組東京 にしき愛 涼麻とも
2002年星組中日 にしき愛
2025年月組全国

とね

京の町の商人で、しびの妻。

新人公演
2001年星組宝塚 陽色萌 琴まりえ
2001年星組東京 陽色萌 琴まりえ
2002年星組中日 陽色萌
2025年月組全国

常盤

京の町の商人。梅若を頭領と慕う。

新人公演
2001年星組宝塚 久城彬 天霧真世
2001年星組東京 高央りお 美城れん
2002年星組中日 高央りお
2025年月組全国

江口

京の町の商人。梅若を頭領と慕う。

新人公演
2001年星組宝塚 高央りお 綺華れい
2001年星組東京 美稀千種 天霧真世
2002年星組中日 紫蘭ますみ
2025年月組全国

「花の業平」その他の配役

序詞役(女官)

劇中でナレーターの役割を務める。台詞から繋げてソロで歌う場面もあります。

新人公演
2001年星組宝塚 毬丘智美 高宮千夏
2001年星組東京 毬丘智美 高宮千夏
2002年星組中日 毬丘智美
2025年月組全国

序詞役(廷臣)

劇中でナレーターの役割を務める。台詞から繋げてソロで歌う場面もあります。

新人公演
2001年星組宝塚 鳴海じゅん 祐穂さとる
2001年星組東京 鳴海じゅん 祐穂さとる
2002年星組中日 鳴海じゅん
2025年月組全国

有子

宮中の花の舞で高子(天紫珠李)と共に踊る舞姫のひとり

新人公演
2001年星組宝塚 朝峰ひかり 夢咲みのり
2001年星組東京 星風エレナ 夢咲みのり
2002年星組中日 星風エレナ
2025年月組全国

吉子

宮中の花の舞で高子(天紫珠李)と共に踊る舞姫のひとり

新人公演
2001年星組宝塚 原美苗 涼乃かつき
2001年星組東京 涼乃かつき 仙堂花歩
2002年星組中日 涼乃かつき
2025年月組全国

沢子

宮中の花の舞で高子と共に踊る舞姫たち

新人公演
2001年星組宝塚 星風エレナ 葉音りの
2001年星組東京 拓麻早希 葉音りの
2002年星組中日 拓麻早希
2025年月組全国

月組公演「花の業平」「PHOENIX RISING」公演情報・期別出演者

王朝ロマン
『花の業平』 ~忍ぶの乱れ~

作/柴田侑宏
演出/大野拓史

Takarazuka Spectacular
『PHOENIX RISING(フェニックス・ライジング)』
-IN THE MOONLIGHT-

作・演出/野口幸作

公演期間:2025年4月28日(月)~5月27日(火)

公演場所:愛知県→神奈川県→大阪府→新潟県→長野県→愛知県→岡山県→福岡県→沖縄県

出演者:

月組

鳳月杏、天紫珠李 ほか