宝塚雪組版「愛の不時着」ネタバレありドラマ未視聴者向け補足まとめ

宝塚雪組

宝塚版「愛の不時着」が開幕しました!早速観劇してきましたが、出演者皆さんハマり役で、とても良い舞台になっていると思います。

その一方で、やはり20時間以上ある韓国ドラマを舞台では2時間半にまとめているので、どうしても描き切れていないエピソードやキャラクター設定も多々あります。

その中でも、私が「ドラマを見ていない人にもこれだけは知ってほしい!」と思うポイントをいくつか書いておきたいと思います。

私自身がク・スンジュン贔屓なのでだいぶ偏った取り上げ方になっていますが、ご了承ください!

結末までのネタバレ全開になりますので、知りたくない方は観劇後に補足として読んでいただく方が良いかもしれません。

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リ・ジョンヒョク(朝美絢)とユン・セリ(夢白あや)のスイスでの出会い

ピアニストを目指していたリ・ジョンヒョク

リ・ジョンヒョクは元々ピアニストを目指していて、スイスに留学していました。

しかし軍人だった兄が突然事故死したため、ピアニストになる夢を断念し、自分も軍人になることを決意します。

北朝鮮へ帰国するため荷物をまとめ、船着き場で最後に兄の為に作った曲を弾いていたのを、ユン・セリが偶然聴く、というのが1幕冒頭のシーンになります。

ユン・セリの孤独とトラウマ

一方のユン・セリは、財閥令嬢として生まれながらも婚外子である自分と家族との関係に悩んで思いつめ、安楽死をしようとスイスを訪れます。

セリは小学生位の頃、夜の海で母親に置き去りにされたことがあり、それがトラウマとして根深く残っています。

劇中でいつもは強気のセリが、ジョンヒョクの家で停電に怯えたり、市場で村の奥様たちとはぐれてパニックになりかけるのも、このトラウマが原因です。

しかしスイスでの安楽死は許可されず、あてもなくさまよっていた時にジョンヒョクのピアノを耳にし、もう一度生きてみようと思うことになります。

ジョンヒョク、セリとソ・ダンの遭遇

ドラマでは、リ・ジョンヒョクとユン・セリの出会いがピアノを聴いた時ではなく、もう少し前だったことが途中で明かされます。

留学中のジョンヒョクを訪ねてソ・ダン(華純沙那)がスイスに来た際、橋の上で記念写真を撮ってもらおうと声をかけたのがセリでした。

セリは家族への遺言を録音して、橋から飛び降りようとしていたところだったので、ジョンヒョクはここでもセリの命を救っていたことになります。

この時、セリはジョンヒョクのことを「彼女(ダン)には惜しい」と呟き、ジョンヒョクの方も「タイプの女性だったから記憶に残った」と、お互い既に好感を持っていました。

ダンは初恋の人ジョンヒョクと婚約できたと喜んでスイスへやってきたのに、ジョンヒョクは学校の同級生だったダンのことを全く覚えておらず、親同士が決めた婚約者として「はじめまして」と挨拶される、という最初からキツい扱いをうけてしまうダンなのです。

ク・スンジュン(瀬央ゆりあ)が詐欺をはたらいた理由

「愛の不時着」で詐欺師として登場するク・スンジュン(瀬央ゆりあ)ですが、彼がユン・セリ(夢白あや)の兄ユン・セヒョン(桜路薫)に詐欺をはたらいたのには理由があります。

スンジュンの幼少期、ユン一族の財閥の裏切りで父親の会社が倒産し、一家はイギリスに移り住むことになります。しかし極貧生活の中で父親は亡くなり、母親は再婚、スンジュンは寄宿舎へと家族はバラバラになってしまいました。

大人になったスンジュンは、自分たち家族を壊したユン一族に復讐するために、まずセリに近づいて婚約者となり、それが失敗に終わると次兄のセヒョンを騙して大金を奪ったのです。

 

ただし、ドラマ内でもスンジュンがこの話を明かしているのはソ・ダン(華純沙那)に対してだけなので、セリは、自分たち一族のスンジュン家族に対する仕打ちや、スンジュンの行動がその復讐のためだということは知らないままなのではないかと思います。

スンジュンが体調を崩した時、ダンがお粥を作ってくれたのですが、お嬢様で普段料理などしないダンは塩加減がわからず、とても塩辛いお粥になりました。そのお粥を食べて、昔イギリスで塩粥しか食べるものがなかった時代を思い出した、とスンジュンが自分の生い立ちを明かすのです。

ユン・セリ(夢白あや)帰還の背景にク・スンジュン(瀬央ゆりあ)の助けあり

宝塚版「愛の不時着」ではエピソードがだいぶ省略されているため、1幕のク・スンジュン(瀬央ゆりあ)はチョ・チョルガン(諏訪さき)やセリの兄セヒョン(桜路薫)と繋がって、セリを韓国へ帰さないよう妨害する悪者サイドの動きをしているのに、2幕ではいつのまにか良い人になって、ただただソ・ダン(華純沙那)に恋しているような見え方になっているかなと思います。

 

ドラマでのク・スンジュンは結局のところお人好しで、ジョンヒョクとセリを何度も助けていて、そのせいで危ない目に遭っているので、その辺りの流れを少しまとめておきます。

雪組版ではセリの2回目の帰還トライ(スポーツ大会の代表選手団に紛れ込んで飛行機に乗る)を途中で計画変更して、3回目の帰還トライ成功(任務交代で第5中隊と一緒に前哨地に行く)となっています。

ドラマ版では2回目の帰還トライの際、空港に向かう途中でチョ・チョルガンによってセリ達が襲われ、ジョンヒョクが撃たれて重傷を負うという展開があります。

その時にスンジュンは行き場のなくなったセリを自分の滞在先へ連れていき、英国籍の自分と偽装結婚しイギリス人として脱北すれば良いと指輪も準備してプロポーズをしています。

結局セリはジョンヒョクを追ってスンジュンのもとから離れたものの、今度はジョンヒョクの父親によって拉致され、ジョンヒョクの実家に幽閉されてしまいます。

 

ここでジョンヒョクの実家からセリとジョンヒョクを車で連れ出して、前哨地近くまで送る、という2回目の帰還トライ失敗~3回目の帰還トライ成功への橋渡しをしたのがスンジュンなのです。

 

酔っぱらったソ・ダンを背負って家まで送り届けフラフラになったところに、ジョンヒョクから電話で呼び出され、なぜかセリの帰還に協力させられてしまう、お人好し過ぎるスンジュンです。

ドラマでのジョンヒョクは、スンジュンを結構上手いこと利用していまして(笑)チョルガンを追って韓国に渡る際にも、スンジュンに韓国の携帯を手配してもらったり、韓国にいるチョルガンの仲間の情報を教えてもらったりしています。

ク・スンジュン(瀬央ゆりあ)が追われた流れとソ・ダン(華純沙那)の復讐

ク・スンジュンを追っているのは北朝鮮軍→ユン・セヒョン

宝塚版ではク・スンジュン(瀬央ゆりあ)が追われている理由について、最後の一連の場面で「チョ・チョルガン(諏訪さき)の悪事が発覚し、その関係者としてスンジュンも軍の処罰対象になった」とだけ説明されていますが、スンジュンを追っているのは軍部だけでなく、セリの兄ユン・セヒョン(桜路薫)が雇った中国系のマフィアたちもいます。

そもそも宝塚版ではスンジュンが追われている説明がないまま、なぜかソ・ダン(華純沙那)の家にスンジュンが泊まることになっているのですが、ドラマの時系列としてはこの時すでにスンジュンは追われています。

 

チョルガンの悪事が発覚し、関係者としてク・スンジュンも処罰対象に

→軍部から逃げてダンを頼り、ダンがジョンヒョクとの新婚生活用に用意していた新居に泊めてもらうことに

→ラーメン食べていかない?という流れです。

 

ただし、この後でスンジュンを追っているのは、軍部よりもセヒョンの方です。

元々スンジュンはセヒョンへの詐欺罪で逃亡して北朝鮮に来たわけですが、セリを切り札に「詐欺額の半分を返済する&セリを韓国に戻さない」という条件で手打ちにしようと取引を持ち掛けています。

しかし結局(スンジュンの協力もあって)セリは韓国に戻ってしまったので、取引は不成立。セヒョンはスンジュンを消すべく中国系マフィアを動かします。

彼らによってスンジュンが滞在していたダンの新居も荒らされ、スンジュンはあちこち逃げ回った末に、ようやくダンに再会できたのが宝塚版の「夕焼け」の場面ということになります。

なので、最後にダンを拉致してスンジュンを殺したのも、セヒョンの手下たちです。

ダンの復讐によりセヒョンは破滅

ドラマでは、ク・スンジュン(瀬央ゆりあ)の死後、ダン(華純沙那)は彼を殺した相手に復讐を決意します。

母親や叔父の力を使って、スンジュンと行動を共にしていたチョン社長(藤影ゆら)から経緯を聞き出し、セヒョン(桜路薫)の悪事を韓国側に全てリークしたのです。これにより、セヒョンは韓国警察に逮捕され、破滅することになります。

宝塚版ではエピローグで、ダンがスンジュンの遺品である鞄を持って無言で舞台を横切っていきますが、スンジュンの復讐を果たした後の表情だと思うと、更に泣けるシーンになります。

 

 

他にも色々と宝塚版では端折られている設定やエピソードがたくさんあるので、時間が許せばぜひ韓国ドラマ版も見てみてください!