雪組で「愛の不時着」が上演されます。原作は言わずと知れた大ヒット韓国ドラマで、北朝鮮と韓国を舞台に、様々なキャラクターが登場する長編作品です。
宝塚での上演にあたり、主な登場人物や配役、韓国ミュージカル版から予想される場面、楽曲などをまとめてみました。
雪組「愛の不時着」は韓国ミュージカル版に準拠?
「愛の不時着」は2019年のドラマ作品ですが、2022年には韓国でミュージカル化されています。
宝塚歌劇の公式ウェブサイト上では、ドラマの方のクレジットのみだったのですが、雪組の公演ポスターを見ると、韓国ミュージカルの方のプロデューサーや脚本、作曲の方の名前もクレジットされています。
なので、雪組での上演も韓国ミュージカル版に沿ったものになるのかなと想像します。
公開されている韓国ミュージカル版の映像や情報などから、雪組版「愛の不時着」の登場人物や場面などを予想してみたいと思います。
ミュージカル「愛の不時着」主な登場人物
ドラマではリ・ジョンヒョクやユン・セリを取り巻く登場人物が多数登場しますが、韓国ミュージカル版でプリンシパルとして配役が出ているのは、
リ・ジョンヒョク(朝美絢)とユン・セリ(夢白あや)
ク・スンジュン(瀬央ゆりあ)とソ・ダン(華純沙那)のサブカップル
敵役のチョ・チョルガン(諏訪さき)
リ・ジョンヒョクの部下4人組(真那春人、壮海はるま、紀城ゆりや、苑利香輝)
北朝鮮の村の奥様4人組(愛すみれ、杏野このみ、愛羽あやね、琴峰紗あら)
となっています。
ドラマ版で登場するリ・ジョンヒョクやユン・セリの家族、北朝鮮の軍関係者やク・スンジュンの協力者などは、韓国ミュージカル版ではキャスティングされず、一部アンサンブルが演じる形でしたが、宝塚版ではより多くの登場人物が配役されています。
主な登場人物のキャラクターについて、ドラマ版の印象を元にまとめます。
リ・ジョンヒョク:朝美絢
北朝鮮の軍人。第5中隊隊長。父親は軍の最高幹部だが、周りにはそのことを伏せている。元はピアニスト志望だったが、兄の事故死をきっかけに軍人となった。真面目で正義感が強く、部下思いの人物。
リ・ジョンヒョクは村の奥様方も浮足立つようなビジュアルで性格も良い、という完璧な人物です。
兄の死以降あまり感情を動かさずに生きてきたリ・ジョンヒョクが、ユン・セリ(夢白あや)に振り回されながら一緒に過ごすうちに、ムキになったり嫉妬したり、人間らしい不器用な部分がどんどん出てくるところが魅力的だなと思います。
ユン・セリ:夢白あや
韓国の財閥令嬢で、自分のブランド「セリズ・チョイス」を運営する経営者。韓国では有名なセレブで、熱愛スキャンダルも多い。財閥一家に生まれたが、兄二人とは母親が違い婚外子のため、家族とは心理的に距離がある。
ユン・セリは自他共に認めるセレブで、韓国では人を寄せ付けないような神経質な性格だったのが、北朝鮮の素朴な生活や人々の中で過ごすうちに、どんどんオープンでポジティブに変わっていきます。
ユン・セリが元々持っているエネルギーのようなものが、リ・ジョンヒョク(朝美絢)をはじめ村の人々にどんどん影響を与えていくのが素敵だなと。
ク・スンジュン:瀬央ゆりあ
韓国出身で英国籍の実業家。以前ユン一族に取り入ろうとユン・セリ(夢白あや)の見合い相手になるが、あえなく振られ、ターゲットを兄に変更。ユン・セリの次兄ユン・セヒョン(桜路薫)から巨額の資金を騙し取り、北朝鮮に逃亡・潜伏中。
ク・スンジュンは詐欺師で言動も軽めの男なのですが、北朝鮮で思いがけず再会したユン・セリの身を案じたり、結局リ・ジョンヒョク(朝美絢)やユン・セリのために尽力したりと、だいぶお人好しなところもある憎めない人物です。
ソ・ダン(華純沙那)に恋してからの浮足立ちっぷりも可愛いので、舞台でも見れたら良いなと思います。
ソ・ダン:華純沙那
リ・ジョンヒョク(朝美絢)の婚約者でチェロ奏者。母親は北朝鮮最大のデパートを経営。容姿端麗でお金持ちという恵まれ過ぎた境遇のため、プライドが高くなかなか感情を表に出せない。リ・ジョンヒョクとの婚約は親同士が決めたものだが、ソ・ダン自身は学生時代からリ・ジョンヒョクが初恋の人だった。
ソ・ダンは主人公の婚約者でヒロインのライバル、というヒール役になりそうな立ち位置なのですが、彼女はそうではなくとてもクールな人です。
母親やリ・ジョンヒョクにはプライドが邪魔をして本音を言えないソ・ダンが、偶然が重なって知り合ったク・スンジュン(瀬央ゆりあ)に対しては、愚痴ったり酔いつぶれたり、素の自分を出せるようになっていくのが見どころです。
チョ・チョルガン:諏訪さき
北朝鮮の保衛局(秘密警察)少佐。数々の不正行為で得た金で上官に賄賂を渡し、のし上がってきた野心家。リ・ジョンヒョク(朝美絢)の兄の事故死にも関わっており、自身に疑いの目を向けるリ・ジョンヒョクを潰そうする。
チョ・チョルガンは「愛の不時着」の敵役ポジションで、主人公2人を執拗に狙い続けます。ミュージカル版ではチョ・チョルガンのナンバーもあるようで、存在感のある役になるのではと思います。
リ・ジョンヒョクの部下たち
リ・ジョンヒョク(朝美絢)が率いる第5中隊で行動を共にしている4人組は、ユン・セリ(夢白あや)とも交流を深めていきます。
それぞれキャラクターが立っているので、雪組でもどのような4人組になるのか楽しみです。
ピョ・チス:真那春人
四人の中で一番年長でお調子者。口が悪くユン・セリ(夢白あや)とは言い争いが絶えないが、情には厚い男。
パク・グァンボム:壮海はるま
寡黙であまり喋らないが、リ・ジョンヒョク(朝美絢)には最も頼りにされている。韓国に行った際には、そのイケメンぶりで芸能事務所からスカウトが相次いだ。
キム・ジュモク:紀城ゆりや
韓国ドラマ好きで、チェ・ジウの大ファン。ドラマを通して韓国事情を熟知しているため、ユン・セリ(夢白あや)の言動をいち早く理解する。
クム・ウンドン:苑利香輝
入隊してまだ数か月の17歳の新人兵。故郷に残した母親と妹弟を気に掛けている。素直な性格で、ユン・セリ(夢白あや)にも懐く。
リ・ジョンヒョクが暮らす村の奥様たち
リ・ジョンヒョク(朝美絢)の家がある村の奥様たちは、北朝鮮の生活ぶりを表す存在であり、ユン・セリ(夢白あや)とも交流していきます。
それぞれ癖は強いものの、最終的には人情味溢れる良い人たちです。
マ・ヨンエ:愛すみれ
陸軍大佐の妻で、村の奥様会のトップに君臨する人物。美容とオシャレに目がない。
ミュージカル版の映像を見ると、歌のソロパートもありそうです。
ナ・ウォルスク:杏野このみ
村の風紀を監視する人民班長。マ・ヨンエ(愛すみれ)のご機嫌取りに忙しい奥様会の重鎮。酒癖が悪い。
ヤン・オックム:愛羽あやね
村で美容室を営む。ナ・ウォルスク(杏野このみ)と共にマ・ヨンエ(愛すみれ)のご機嫌取りをしている。
ヒョン・ミョンスン:琴峰紗あら
奥様会でのヒエラルキーは下の方。おっとりしておとなしいタイプだが、時々本質を突いた発言で周囲を凍り付かせることがある。
(ミュージカル版では描かれていませんが)リ・ジョンヒョクの兄の死にかかわりを持つ、チョン・マンボク(麻斗海伶)の妻。
イム・ソヨン:白綺華
この役名は韓国ドラマ版で調べても出てこないので、どのような役どころなのか不明でしたが、宝塚版では村の奥様メンバーの一員でした。
リ・ジョンヒョクの関係者
リ・チュンニョル:奏乃はると
リ・ジョンヒョク(朝美絢)の父親。朝鮮人民軍総政府局長という肩書を持つ軍幹部。
チョン・マンボク:麻斗海伶
盗聴を専門とする部署に所属する軍人で、チョ・チョルガン(諏訪さき)の部下。ヒョン・ミョンスン(琴峰紗あら)の夫。
事故死したリ・ジョンヒョク(朝美絢)の兄と親交があったものの、チョ・チョルガンに脅されて事故死に関わった過去を持つ。
軍事部長:稀羽りんと
軍でリ・ジョンヒョク(朝美絢)の父であるリ・チュンニョル(奏乃はると)と対抗する勢力の幹部。
チョ・チョルガン(諏訪さき)と繋がっている。
ユン・セリの関係者
ユン・セヒョン:桜路薫
ユン・セリ(夢白あや)の次兄。欲深く、父親から後継者に指名されているユン・セリを追い落とそうと企む。
ク・スンジュン(瀬央ゆりあ)に騙されて大金を失っており、彼を捕えようと追っている。
広報チーム長:和奏樹
ドラマ内での役名はホン・チャンシク。ユン・セリ(夢白あや)の部下で、セリズ・チョイスの広報チーム長を務める。
セリの声を聴くとストレスで蕁麻疹が出るが、失踪したセリを懸命に探す。
雪組「愛の不時着」その他のキャスト
キム課長:絢斗しおん
韓国の国家情報院(秘密警察)課長。
ドラマでは韓国にやってきたリ・ジョンヒョク(朝美絢)や第5中隊のメンバーを取り調べる人物です。
チョン社長:藤影ゆら
北朝鮮で逃亡者などを匿う違法事業に携わる人物。逃亡してきたク・スンジュン(瀬央ゆりあ)の世話係。
コ・ミョンウン:美影くらら
ソ・ダン(華純沙那)の母親。北朝鮮で平壌最大のデパートを経営している実業家。癖は強いが、一人娘のソ・ダンの幸せを何より考えている。
船長:海咲圭
リ・ジョンヒョク(朝美絢)が「船渡し」の方法でユン・セリ(夢白あや)を韓国へ帰そうと試みる時に登場する船長かと思います。
海上巡視隊員(霧乃あさと)もその時に登場する人物だと思われます。
体操班長:月瀬陽
韓国ミュージカル版の映像を見ると、プロローグの後、村の奥様方が朝の体操に加わるようなシーンがあるので、その際に音頭をとっている人物かなと思います。
裁判官:夢翔みわ
「愛の不時着」ドラマ中での裁判といえば、チョ・チョルガン(諏訪さき)が裁かれる時に登場する人物かなと思います。
韓国ミュージカル「愛の不時着」の場面・楽曲
韓国ミュージカル版「愛の不時着」では、ドラマのサウンドトラックがミュージカルの楽曲として使われていたりと、ドラマ版の音楽ともリンクした作りになっています。
「愛の不時着」ドラマ版のオリジナルサウンドトラックはこちら↓
韓国ミュージカル版「愛の不時着」(日本語字幕版)は現在FODで全編見ることができます。
YouTubeでもプレスコールの映像がいくつか公開されているので、それをもとに宝塚版の場面や楽曲を想像してみたいと思います。
(プレスコールの映像では、各役トリプルキャストが混ざって登場しているようです)
プロローグ 主な登場人物の人間模様が交錯?
この動画の冒頭~4:14がプロローグのような場面で、風?をイメージしたようなダンサーが歌い踊る中で、主なキャラクターが次々に登場していきます。
・キムチ作りに精を出す村の奥様方
・前哨地で警戒にあたるリ・ジョンヒョクと第5中隊のメンバー
・パラグライダーで飛ぼうとするユン・セリ
・悪事を企んでいるチョ・チョルガン
・北朝鮮に逃亡してきたク・スンジュン
・結婚を進めるために帰国したソ・ダン
という感じかなと想像します。
村の奥様達のナンバー
4:12~
マ・ヨンエを中心に、村の奥様方が村の生活を表しているようなナンバーがあります。
リ・ジョンヒョクとユン・セリの出会い
5:15~
パラグライダーの事故で北朝鮮側の森に不時着してしまったユン・セリとリ・ジョンヒョクの出会いのシーン。
その後、リ・ジョンヒョクがユン・セリを「自分の婚約者だ」と言って、チョ・チョルガンの追及から逃れるシーンもあります。
チョ・チョルガンのナンバー
6:58~
チョ・チョルガンの自己紹介ソング的なナンバーかなと。
宝塚版でも男役のダンスナンバーとしてかっこよくなりそうです!
アロマキャンドル~船渡しでの帰還トライ
リ・ジョンヒョクにアロマキャンドルを貰ってから「船渡し」で韓国への帰還を試みるシーンが、ユン・セリのソロ曲の中で表現されているようです。
「韓国ドラマでの危機の逃れ方」のシーンもありますね!
ホテルでの4人の鉢合わせナンバー
平壌ホテルを訪れたリ・ジョンヒョク&ユン・セリが、ク・スンジュン、ソ・ダンと鉢合わせてしまうシーン。
リ・ジョンヒョクとユン・セリの「運命」と「偶然」のエピソード
ク・スンジュンとソ・ダンの「愛」と「執着」のエピソード
初雪のエピソード
が一つのナンバーに入れ込まれている感じかなと想像します。
四人それぞれの人間模様とキャラクターが良く表れているナンバーだなと思うので、ここはぜひそのまま雪組版でも見たいです!
村の奥様方と仲良くなるユン・セリ
ドラマ版でユン・セリがヨンエさんのワンピースをアレンジするエピソードがありますが、それに似た位置づけのナンバーかなと。
すっかり村の仲間たちとも打ち解けてノリノリのユン・セリと、画面の右端で立ち尽くしているリ・ジョンヒョクの対比が楽しいです。
トマトの苗とリ・ジョンヒョクのナンバー
2度目の帰還トライの前夜?ユン・セリからプレゼントされたトマトの苗にきれいな言葉をかけてあげるところからのリ・ジョンヒョクのナンバー。
(ドラマとは少し時系列が違うと思います)
後半はドラマ6話の別れのシーンですね。
セリの帰還と韓国での再会
ドラマ9話最後の3度目の帰還トライのシーン(降臨の話など)から、リ・ジョンヒョクが韓国に来て再会するところまでが一つのナンバーになっているようです。
ク・スンジュンとソ・ダンの初デート
11:30~
途中で「10分、5分待って」「3分あげます」の台詞があるので、ク・スンジュンとソ・ダンの初デートのナンバーということのようです。
ドラマではドライブ中のワンシーンしか描かれていなかったので、ミュージカルオリジナルかなと思いますが、ソ・ダンが楽しそうにしている姿が見れる貴重なシーンですね。
ク・スンジュン出発前夜のソ・ダンとのナンバー
ク・スンジュンがヨーロッパへ出発する前夜と思われるシーンです。
眠ってしまったク・スンジュンにソ・ダンが毛布を掛けてあげるようなシーンはドラマにはなかったので、オリジナル要素が強いのかなとも思います。
韓国ミュージカル版のプレスコール映像は探せる限りここまででした。
この後のシーンはクライマックスのネタバレになるので、さすがに見せられないですよね。
2組のカップルを中心に、素敵なナンバーも多く見応えがありそうで、雪組での上演も楽しみです!
雪組公演「愛の不時着」公演情報・期別出演者
ミュージカル
『愛の不時着』
原作tvNドラマ「愛の不時着」パク・ジウン執筆
ⓒSTUDIO DRAGON by CJ ENM, ALL RIGHTS RESERVED.
Writer : Park Ji eun
潤色・演出/中村一徳
公演期間:
2024年11月30日(土) – 12月15日(日)@東京建物Brillia HALL (東京都)
2024年12月22日(日) – 12月28日(土)@梅田芸術劇場メインホール(大阪府)
出演者:
雪組
奏乃はると(85期)
真那春人(92期)
杏野このみ(94期)
朝美絢、愛すみれ、桜路薫(95期)
諏訪さき(99期)
麻斗海伶(101期)
稀羽りんと(102期)
壮海はるま、夢白あや、愛羽あやね(103期)
絢斗しおん、和奏樹(104期)
紀城ゆりや、琴峰紗あら、海咲圭、美影くらら、月瀬陽(105期)
華純沙那、夢翔みわ、霧乃あさと、藤影ゆら(106期)
白綺華、絢月晴斗、妃奈環、乙瀬千晴(107期)
苑利香輝、清羽美伶、琴華ひまわり、千乃新(108期)
祈菜さあや、結翔恋、星姫あやか(109期)
専科
瀬央ゆりあ(95期)